出版社内容情報
シルクロードの交差点・アフガニスタンで、いま何が起こっているのか--。
本書はアスガニスタンの現状と、この実態を生んだ歴史的経緯を中心に述べています。 2021年8月15日、米軍の完全撤退を前にイスラム主義勢力のタリバンが首都カーブルを制圧、2001年の9.11同時多発テロに端を発した対テロ戦争で、当時のタリバン政権が崩壊したことからの「復権」を果たす形になりました。
一方国際社会は、国連の制裁対象者の入閣や女性の教育、就労が保証されないなどから、タリバン政権に圧力、制裁を科し、正式な政府とは認めていません。
大統領の政権放棄や市民の国外脱出、難民問題など、アフガニスタンに多くの注目が寄せられましたが、国内状況は好転しないままでした。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると関心はウクライナに、スーダン内戦が報じられるとスーダンに耳目が集まるなど、アフガニスタンは過ぎ去ったように報道はなくなりました。
アフガニスタンでは40年以上にわたる外国軍の侵略と内戦によって、国民の苦しみ、絶望感は極限状態が続き、さらにタリバン政権ということで、国際支援も滞っています。
祖国の惨状に心を痛め、永年、医療・教育を中心にアフガニスタン復興支援に献身してきた日本在住のアフガニスタン人医師が、最新の現地視察報告を含め、自身の歩み、中村哲さんとの交流、アフガニスタンの将来、タリバンとの向きあい方などを綴ります。
合わせて戦争は人間や自然環境の崩壊を招く原因であり、決して起こしてはならない、「アフガニスタンのことを忘れないでください」と訴えます。
内容説明
タリバン政権は過去の教訓を活かせるか。アフガニスタン人医師が綴る、祖国の歴史と現状、真の復興への熱い想いと願い!
目次
序:緑豊かな国だったアフガニスタン
1章 アフガニスタン視察―二〇二三年二月―タリバン政権下の市民生活、医療状況報告
2章 タリバンの「権力」再掌握
3章 私の歩んできた道
4章 アフガニスタンが歩んだ道
5章 中村哲先生の生き方に学ぶ―関心をもつことからすべては始まる
6章 アフガニスタンの将来のために
著者等紹介
カレッド,レシャード[カレッド,レシャード]
1950年、アフガニスタン・カンダハールに生まれる。1969年4月来日。千葉大学留学生部を経て、72年京都大学医学部に編入、76年卒業。同大学胸部疾患研究所研究員を皮切りに関西電力病院、天理よろづ病院、島田市民病院などで勤務医を歴任。87年、日本に帰化。89年から2年間、イエメン共和国結核対策プロジェクトリーダーとして赴任。91年、松江赤十字病院呼吸器科部長。93年、静岡県島田市でレシャード医院を開設、院長。その後、介護老人保健施設アポロン・アポロン伊太、社会福祉法人島田福祉の杜特別養護老人ホームあすかを設立、理事長。2002年4月、アフガニスタン復興支援のためのNPO法人「カレーズの会」を設立、理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。