目次
ベトちゃんドクちゃんが生まれた国
直前まで続いた医師団の葛藤
歴史的な15時間
過酷な宿命
実母が語るベトちゃんドクちゃん
混乱の時代を乗り越えて
ベト・ドク手術で学んだチームワーク
温かい人情
分離手術後、8歳のベトちゃんドクちゃん
ベトちゃんドクちゃんの育て親たち
元党書記のチュンおばあちゃん
ツーズー病院とベト・ドク
手術から20年たったドクちゃん
ドクちゃんの家
著者等紹介
野島和男[ノジマカズオ]
1959年、東京生まれ。2003年にベトナム、ホーチミン市へ移住。現在、ホーチミン社会人文大学外語センター講師。ツーズー病院の平和村関連のほか、ホーチミン・テレビ局(HTV)や戦争証跡博物館などの翻訳を手掛けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
100
25年を経て語られる結合双生児ベト・ドクの分離手術のドキュメンタリー。ツーズー病院で行った背景には双子の精神面以上にスタッフ連携が考慮されていた。出兵や物価高に喘ぐベトナムの希望の象徴にされる並ならぬプレッシャーの中、成功させた彼らも多くが収容所や貧困に苦しみつつ母国に残った戦争体験者だった。相応に育まれた頑固な意志たちを束ねた副院長の存在に、亡命失敗者のリーダーは助けられたと思う。強靭で高邁な精神はドクに受け継がれたようだ。社会人・父親として理想になろうと驕らず甘えず働き詰め。身体には気をつけて欲しい。2023/04/12
鈴
35
ベトちゃんとドクちゃんの、どちらかが亡くなっていたことはなんとなく記憶にあるが、ベトちゃんがかなり長いこと植物状態だったのは知らなかった。ベトちゃんドクちゃんを産んだときのお母さんの思いが切ない。だけど、今現在ドクちゃんが父親になって幸せにしているのならば、生まれてきた意味はちゃんとあったんだよね。いまだ、枯葉剤の被害者だと認定される子供が生まれているらしい。2016/03/01
tellme0112
7
一気に読んだ。休日図書館で立ち読み。おすすめ本の棚の前で。88年のニュースを覚えている。難しい手術、腎臓が二人分それぞれにあってよかった。亡命しなかった担当医師の話が印象的…。短くまとまっているけれど…簡単ではない選択だったはず。すごいや。人こそ宝だと思った。平和こそ宝。日本はこういう方向で世界に貢献したいね。ドクの自立がうれしい…。2017/04/30
りんふぁ
4
もう31歳になっていたのかぁ。結婚されたのはしっていたけど、双子のお子さんを授かっていたとは。色々あったけど、兄(ベト)と繋がってた7年は幸せだった、というのを読んで、今もベトちゃんと共に生きているのかも知れないと感じた。分離手術は日本でしたのかと思ってたから、ベトナムで行われていてビックリした。2014/03/06
ぴっちゃん
3
ベトナム戦争時、米軍は猛毒のダイオキシンを含んだ枯葉剤を大量に撒くという攻撃を行った。その影響でベトナムでは流産や先天性障害、がんなどが急増し、現在もその影響は消えないという。この本では、兄のベトさんと腰から下がつながった結合双生児として1981年に誕生したグエン・ドクさんの半生と、その人生を支援してきた人たちについて綴るとともに、ベトナム戦争の背景についても触れる。ベトナムの苛酷な歴史とともに、ドクさんを取り巻く人々の葛藤にも触れ、改めて平和について、平和外交について考えさせられる本。2014/07/03