内容説明
勤労動員先で被爆、奇跡的に生きのびた少女は、翌朝、たった一人で死の街を縦断、わが家へ向かって歩き始める…。それから半世紀、60歳を超えての英国留学はやがて「反核海外ひとり行脚」へと発展、訪れた国は30カ国以上。その被爆者がいま、フクシマと向き合って…。
目次
太陽が落ちた日
父の場合
母と弟
戸坂小学校
終戦
夕焼けと鴉
伯父の死
祖母
天と地といのちだけの日
子供たちの周辺
緑
被曝症状
ABCC
骨仏
友柳さんのこと
飯田さんのこと
私のその後
著者等紹介
橋爪文[ハシズメブン]
1931年1月、広島に生まれる。14歳で被爆。日本ペンクラブ、日本詩人クラブに所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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古本虫がさまよう
5
あの日、あの時はまだ14歳だから勤労動員で郵便局に勤務していたとのこと。その場所は爆心地から1・5キロの所。建物内にいたとはいえ、大窓が突然異様に強烈な光を発して「太陽が落ちてきた」と感じたそうな。治療に際して、彼女のような被爆患者をモノ、モルモット扱いするような米人医者に閉口したりもする。共に被爆した父は長生きし、風呂場で転倒してなくなった時は90歳。父は「思想的には右にも左にも偏らず中道を歩んでほしい」との遺訓を残した。だからというわけでもなかろうが、著者の筆致は中道リベラルな感じでしょうか?2022/08/06
小葉
5
体験者が綴る原爆。14歳の少女が見た「あの日」とそれからのヒロシマ。あまりの悲惨さに読むのがつらかった。でも書く側、語る側の方がずっとずっとつらいはず。2012/10/08