内容説明
自由主義史観・司馬史観・小林よしのり『戦争論』・「つくる会」教科書…90年代後半から台頭してきた歴史修正主義の思想的特質を総括し、“戦争”を克服するための“歴史認識”を提示する。
目次
第1部 歴史修正主義の特徴と日本人の戦争認識(「自由主義史観」批判;「司馬史観」批判;歴史修正主義を支える戦争観;小林よしのり『戦争論』批判;「新しい歴史教科書をつくる会」教科書批判)
第2部 歴史修正主義克服のための課題(歴史修正主義の台頭の要因;現代における“戦争責任”とは何か;戦争非体験世代の“戦争責任”;歴史教育と歴史認識)
著者等紹介
山田朗[ヤマダアキラ]
1956年大阪府生まれ。明治大学文学部教授。専攻は日本近現代軍事史
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感想・レビュー
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更紗蝦
27
「司馬史観」批判、小林よしのりの『戦争論』批判、「新しい歴史教科書をつくる会」教科書批判に力を入れて歴史修正主義の分析をし、その克服方法を提示している本です。出版された年が2001年なので、2000年の石原慎太郎元都知事の「三国人」発言、森喜朗元首相の「神の国」「国体」発言についての言及があり、この頃から政治家の「失言」が選挙に全く影響しておらず、政治家が自分の歴史認識を改めることも発言を撤回することもしなかったという“前例”が、現在の政治家の差別発言(例:杉田水脈衆議院議員)に繋がっていると感じました。2018/09/24
SK
6
26*今年は、歴史修正主義についてきちんと学びたいと思う。初期の「作る会」運動などについての批判。「自由主義史観」の初期は「司馬史観」に依っていたのですね。小林よしのりの「戦争論」を頭ごなしに否定しても、かえって反発されると主張するなど、戦略的かつ説得力を感じる。日本の膨張主義が、太平洋戦争を招いた。2021/01/24
たろーたん
0
まず歴史修正主義の通説を否定していく。「植民地をしたのは日本だけではない」→「日本も批判したらいいじゃん、植民地をした欧米列強を」。「戦争や植民地で良いこともした」→「植民地支配・本国の利益のために必要だった学校や道路や橋などの社会資本の整備を、現代的な感覚で地域振興とか住民の福祉のための政策と勘違いしてはいけない。彼らにためにやったのではなくあくまで日本の国益のためにやったことである」。「日本はやむにやまれず戦争をした」→「現実の歴史の家庭を見ると、1941年に日本が始めた戦争は、(続)2024/12/02