内容説明
フランスはいま、全人口の13人に1人を移民が占め、パリにはその移民全体の4割が集中する。さまざまの民族差別や文化摩擦を抱えながらも、共生社会へと向かうパリに生きる移民・外国人の実態を描き出した労作。
目次
1 経済移民
2 政治難民
3 闘争
4 摩擦
5 上昇と挫折
6 恋愛と結婚
7 2世たち
8 欧州移民
9 反ユダヤ主義
著者等紹介
本間圭一[ホンマケイイチ]
1968年、新潟県生まれ。東京大学仏語仏文学科卒業後、92年4月、読売新聞社入社。宇都宮支局を経て、98年8月から2年間、パリに留学し、パリ第5大学(法学部)博士課程DEA、パリ第1大学(人文学部)修士課程を修了。2001年7月から、ブラジル・リオデジャネイロ支局勤務
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
302
著者の本間圭一氏は読売新聞の記者。本書は1998年8月から2000年7月まで2年間の著者のパリ大学留学時(読売新聞社在職)に行った調査やインタビューに基づいて書かれている。20年以上も前のものだが、ここで語られている移民の問題は本質的には何も変わっていないし、否、というよりはむしろ当時よりも深刻の度を増している。フランスへの移民も、経済移民、政治難民と理由は様々であるが、低成長下にあって、いずれの人たちも苦境に立たされている。昨今ではイスラム教徒への偏見と排斥の動きも急であり、フランスのみならずEU諸国⇒2023/06/30
ふぁきべ
1
フランスの移民に関する問題を、取材を通じて得たエピソードを中心に展開して扱っている。分析などは控えめで、たくさんの(フランス人にとっての)外国人の生活状況や苦難、それにたいするフランス政府の対応などが中心となっている。やや左派的というか、移民受け入れを促進すべきという考え方が多く、右派的な、保守的な考え方を持つ人物についてはいいように描かれていないような気はするので、すべて鵜呑みにはできないが発刊当時2001年の移民の状況を知るには悪くない本だとは思う。ただ統一通貨導入前だし、情報としては古すぎるか。2013/02/22