内容説明
古い日本の常民の中には、海には海の漂泊者があり、山には山の漂泊者があった。山の漂泊者としては、東北地方に多いマタギと木地屋などがある、しかしこれ等の人々は、すでに過去の物語の中にかくれて滅んでしまったにしても、幾らかの痕跡は今日でも認めることが出来る。マタギという職業は、主として山でケモノ、即ちクマ、シカ、カモシカなどをとる狩人のことであるが、附近の山ばかりでなく、随分遠くまで出掛けて行ったことがわかる。東北の歴史の主流から離れ、むしろ無視されているこれ等山の人々の生活や俗信などは殆ど絶滅寸前にあり、今のうちにまとめた。しかしこれを全国的な規模において見てゆくことは余りにも大きにすぎて容易な事ではない。それでここでは旧仙台領だけに限ったのである。
目次
第1話 マタギの二大流派
第2話 仙台青葉流マタギの発端
第3話 青葉流マタギの開祖田村男猿
第4話 早継の鉄砲装備
第5話 仙台地方の磐三郎伝説
第6話 鹿笛のこと
第7話 仙台藩主の鹿狩り
第8話 マタギの俗信と鹿まつり
第9話 オコゼの話
第10話 こぼれ話
第11話 資料『狩詞記』と『狩言葉』
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