内容説明
本書は、二十世紀フランスの思想家・作家・批評家であるジョルジュ・バタイユ(1897‐1962)の思想に、「時間」という主題を通じてのアプローチを試みるものである。
目次
瞬間と概念
瞬間と未来
瞬間と過去
瞬間とポエジー
瞬間とエコノミー
瞬間と現象
著者等紹介
和田康[ワダヤスシ]
1961年東京生まれ。東京都立大学フランス文学科修士課程修了。東北大学国際文化研究科博士号取得。現在、東北大学国際文化研究科専門研究員。専攻、現代フランス文学・思想
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感想・レビュー
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kapo54
2
本当に素晴らしい。「歴史」と「瞬間」という二つの時間概念を中心にバタイユを読み解いていく。この問題設定が素晴らしい。そしてバタイユは常に瞬間を称揚する。これは近代的、ヘーゲル的な時間論への強烈なアンチテーゼである。バタイユの思想が哲学史に持つインパクトは非常に大きい。2016/08/31
1
バタイユを「時間」論の枠組みから読むという角度のつけ方が面白い。むしろ、コジェーブ の「企図」という連続性=有用性としての「死」への否定性として垂直的/断絶的な「語りえぬもの」=「非-知」としての「消尽」=「死」を対置させている。文学におけるポエジーの問題、ブルトンとサルトルとの確執、フッサールの現象学との関係など、「時間」論という枠組みながらも話題は多岐にわたる。 2024/02/24
道明寺
0
和田『歴史と瞬間』終わりました。バタイユの思想は原理として時間性、死の自覚による企て・労働の獲得、現存在を過去において本質に分離する言語化があるのではないか。彼はここから非-知という時間性を根本的に破壊した物を見出しつつそこからポエジー、幸運、贈与等を読み解き非-知への接近を図る。バタイユはデリダ的だと思います。デリダの言うところのエコノミー、バタイユの場合それは功利的なエコノミーに回収されない場所を描いている。それは最も描くことすら極めて歪曲した形でしか不可能な訳ですが。2019/12/01
道明寺
0
和田『歴史と瞬間』バタイユ論文。第一章。バタイユにおける「瞬間」概念をコジェーヴ=ヘーゲルとの影響を受けながら生-死、過去-現在-未来の対立を超えた非-知の受動性に見出す。興味深いのは、企て・投げ出される存在たる現存在が死という否定を理解することで否定する否定になりうる所である。 コジェーヴ=ヘーゲルではこのように死を「否定」と見なすものの、それに対してバタイユは「瞬間」概念を用いて肯定-否定をラディカルに逸脱した「非-知」を持って解釈する。それは「否定」を行う意識の外にあるが故に恍惚体験なのである。2019/11/27
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