内容説明
フランス文学史で、物語(ロマン)というジャンルの先がけとして、「古代もの」と呼ばれる一連の作品群がある。その一つがここに訳出した『エネアス物語』である。『エネアス物語』を、そのもとになっているウェルギリウスの『アエネーイス』と比べてみると、ディドーやラヴィーヌのエネアスに対する恋愛の要素が多分に膨らまされている。その他、舞台や人物は古代のままでありながら、その行動様式や感情は中世人のものであり、城の造りや身につけている鎧兜も、戦闘の仕方も中世の騎士のそれである。『エネアス物語』は十二世紀の半ば、1150~1155年ころに書かれた作者不詳の作品であり、現存九種の写本によって伝えられている。
著者等紹介
今田良信[イマダヨシノブ]
1956年生。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。広島大学文学部助教授
前田弘隆[マエダヒロタカ]
1955年生。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。広島商船高等専門学校助教授
村上勝也[ムラカミカツヤ]
1945年生。広島大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。広島文教女子大学文学部教授
太古隆治[タイコリュウジ]
1950年生。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。和歌山工業高等専門学校助教授
中川正弘[ナカガワマサヒロ]
1953年生。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。広島大学留学生センター助教授
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