悲しみの収穫 - ウクライナ大飢饉

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  • サイズ A5判/ページ数 638p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784874300336
  • NDC分類 611.76
  • Cコード C0036

出版社内容情報

時を隔て、いま甦る20世紀の悪夢。餓死者700万人以上、1933年のヨーロッパの穀倉地帯、ウクライナを襲った20世紀最大の悲劇。スターリンのウクライナ農民大虐殺―中国、カンボジア、北朝鮮へと続く飢饉テロの原型―の全貌を初めて世界に知らしめ、ソ連崩壊を加速させたロバート・コンクエストの歴史的名著初邦訳!

まえがき
序文
第一部 主役たち ─党、農民、国家
 第一章 農民と党
  農民の伝統 農奴解放後 農民の副業 農民の暴動 ロシア農業の後進性
  ロシア農民論 マルクス主義者の農民観
 第二章 ウクライナ国家とレーニン主義
  ウクライナの独立問題 ウクライナの歴史 ウクライナのロシア化 国家と民族問題
  ウクライナ中央ラーダとボリシェヴィキ ゲートマン政権とウクライナ共産党
  ディレクトリヤ政府と第二ソヴィエト政府 ウクライナのボリシェヴィズム
  ウクライナ語の問題 ウクライナの「独立」
 第三章 革命、農民戦争、飢饉 一九一七年~一九二一年
  農村共同体の復活 農村における階級闘争 農民からの食糧徴発 農民戦争
  農民戦争の死亡者数 ロシア社会の崩壊 一九二一年の大飢饉
 第四章 閉塞期 一九二一年~一九二七年
  ネップ(新経済政策) 民族問題の譲歩 スターリンの権力闘争と農民問題
  経済回復の曙光 共産党の敵たち 村ソヴィエト 「富農」についての定義
  「貧農」と「中農」についての定義 階層区分の困難 右派と左派
  ウクライナ内部の抗争 不安定な政府
第二部 農民蹂躙
 第五章 激突の年 一九二八年~一九二九年
  一九二八年の穀物危機 右派の敗北 ウラル・シベリア方式 シャーフトィ裁判
  農民の階級闘争 第一次五カ年計画をめぐって 富農迫害の始まり 富農の抵抗
  農村における党の活動 一九二九年 ─穀物不足 集団化の計画
  トーズ(土地共同耕作組合) コルホーズ幻想 進まぬ集団化
  一九二九年の混迷 要約
 第六章 「富農」の運命
  「富農階級」は存在しなかった 「階級の敵」を必要とした共産党
  富農の分類とその処分 都市への富農の流入 犠牲になった「富農」の数
  富農は虫けらのように抹殺されていった 富農の家族たち 強制移住の実態
  生残れなかった人々
 第七章  急激な集団化とその失敗。一九三〇年一月~三月
  農業の集団化 農民の反乱 家畜の大量殺処分
 第八章 自由農民の最後 一九三〇年~一九三二年
  農家隣接地 コルホーズを離脱する農民 工業化と「国内旅券制」
  工業化と資金調達 コルホーズの窮状 コルホーズ・穀物徴発のシステム
  「労働日」 国営農場(ソフホーズ) 馬とトラクター
  機械トラクター・ステーション(MTS)
  コルホーズの役割─消された経済学者たち 過大な予測と統計のウソ
 第九章 中央アジアとカザフ人の悲劇
  中央アジアにおける家畜と人口の減少 遊牧から農業への転換の困難
  カザフ社会の「富農」撲滅 農業集団化とレジスタンス 人災の原因
  放浪のカザフ人 少数民族の飢餓と逃亡
 第十章 教会と民衆
  無神論と農民 党の宗教政策 反宗教運動の強化 司祭への迫害
  教会破壊と農民の抵抗 聖鐘とイコン キリスト教文化の破壊 福音派教会など
  ウクライナ独立正教会とカトリック東方帰一教会
第三部 飢饉テロ
 第十一章 ウクライナへの猛攻 一九三〇年~一九三二年
  知識人への迫害 第二の標的─農民 ウクライナ共産党の苦悶 餓死の始まり
 第十二章  飢饉の猛威
  小麦を盗んで銃殺に 善意の人々 誠実なコルホーズ議長たち 活動分子と作業班
  飽食の人々 蛮行にたいするショーロホフの批判とスターリンの反論
  飢えを救うのは感傷的行為だ ─レーニン 農民の暴動
  村をでた人々と「外国人専用店」 計画未達の村への制裁 割当てを達成しても有罪
  ウクライナ共産党への批判 コシオールの見解 解任と銃刑
  餓死する人々 ─一九三三年 生きた農婦にウジ虫が 飢饉による死亡率 飢餓の症状
  人肉食い スターリニズムの病理 ─欺瞞
 第十三章  荒廃したウクライナ国土
  雑草だらけの畑 救援対策 無責任なモスクワ指導部 駅で腐らせた穀物
  ウクライナ民族主義への弾圧 ウクライナ知識人にたいする粛清 ─一九三三年
  全滅のウクライナ ジェノサイド
 第十四章 クゥバーニ川、ドン川、ヴォルガ川
  コサックの伝統 B・シェボルダーエフの闘い コサック村の潰滅
  クゥバーニ川流域のウクライナ文化掃討 死の北カフカース
  ヴォルガ・ドイツ自治共和国の惨状
 第十五章 子供たち
  生存者のトラウマ 餓死する子供たち 母の涙と子供の生き方 浮浪児たち
  子供の労働収容所と孤児院の実態 国家の犬にされた子供たち
  子供の犠牲者 ─四〇〇万人
 第十六章 死亡者数
  人口問題 飢饉による死亡者の数 いろいろな数字 飢饉以外の死 結論
 第十七章 西ヨーロッパの記録
  スターリン ─欺瞞の手法 真実は隠せない 騙された人々 ウエッブ夫妻の大過
  「最大の嘘つき」 ─W・デュランティ 欺瞞に荷担した人々
 第十八章 責任問題
  政府の公式見解 スターリンの態度 飢饉の標的 ─ウクライナ
  マルクス主義の責任 総括
エピローグ ─その後の推移
 「勝利者の大会」 農村での粛清 ウクライナの解体 ウクライナの抵抗
  その後のウクライナ政策 コルホーズ農業の失敗 大戦後の実績
  ルィセーンコと「社会主義的労働の英雄」 その後のコルホーズ 官僚の非人間化
  共産主義思想と大量殺戮 秘密主義
訳者あとがき
原  注
文献目録

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

50
アグニェシュカ・ホランド監督の映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』が、公開されるとのニュースに接し、映画の方はコロナ禍が収束後に観ることにして、この本を手に取った。 ホロドモール※1、富農撲滅運動※2、あまりの凄惨さに圧倒される。 これが僕自身若い頃に惹かれていた社会主義の裏の顔なのか。 社会主義理論が「富農」(クラーク)という敵を作り、五カ年計画が飢餓を産出する。 「壮大な実験」などと呼ぶには、あまりにも大きな犠牲だ。2020/08/20

鷺@みんさー

47
かなり読み応えのあるぎっしりの内容で、ウクライナの大飢饉が実際に、そして具体的にどういうものだったかを詳細なデータを交えて書かれています。ただし衝撃的な写真はないので、文字のみで読み進めることが可能ですが、以前別の本で、本当にどう見ても骸骨でしかない当時の人たちの写真を見て、しばらく目がそらせないほどのショックを受けました。この時代のドイツとロシアのあちこちには、本当に痛ましい話が多い。

たまきら

38
備忘録:1986年出版、ソ連近代史をイギリス人歴史学者が書いたロングセラーです。90年、高校生の頃ロシア史を勉強していた時に先生が生徒たちに勧めたものの、当時の自分には歯が立たなかったこの本が新刊コーナーにあったので驚いて手を取りました。もちろん現在のロシア情勢を鑑みた再版なのでしょうが、2007年翻訳版をそのまま再版しているのは残念です。現在の情勢に触れた文章が欲しかった…。ただ80年代に書かれているからこそ、「不変な問題」が明快にくみ取れました。2023/05/30

Marcel Proust

9
凄まじい一冊だった。戦争も起きていないのに、政治闘争と確信犯的無策によりウクライナの人口の20%の700万人超が餓死し、その300万人超は幼い子供だった。これが今から90年前のソ連領ウクライナで起こった出来事だ。指導部すら定義が曖昧な「富農」を撲滅する為、馬鹿げたイデオロギーによる集団農場化の為、人為的にウクライナの民族主義を潰しソ連の権力基盤を固める為、ありとあらゆる人間が犠牲になった。ウクライナ人はロシアに支配されると、どのように抵抗運動が潰されるか全てを知っている。今の時代に読むべき必読の一冊だ。2023/08/30

sasha

9
共産圏が掲げる「計画」ほど無計画なものはない。収穫量を上回る食糧徴発ってなんだよ?そりゃ、侵攻して来たナチスを大歓迎するだろうよ。しかし、日本の学校ではこういうこと教えないよね。ウクライナ議会をはじめ、いくつかの国が「ジェノサイド」と承認しているが日本が入っていないのは、端から興味がないからか。2014/04/02

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