内容説明
英語学習者が前置詞を使いこなせるようになるにはどうすればよいのか?著者自らがドラマや小説から収集したものを含む膨大な数の実例のすべてに正確で分かりやすい和訳付き。
目次
第1章 序論
第2章 時間
第3章 空間
第4章 手段
第5章 差分・単位
第6章 結語
著者等紹介
平沢慎也[ヒラサワシンヤ]
1986年、神奈川県生まれ。2016年東京大学にて博士(文学)の学位を取得。現在、慶應義塾大学、東京大学、東京外国語大学にて非常勤講師。専門は、英語学、認知言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ががが
5
byに限らず前置詞はいくつもの意味を持っているように見えて、実はコアイメージなるものがあり、すべての前置詞をそのコアイメージから類推させることでニュアンスはつかめるのだという考え方もあるのだが、本書はそういった「意味の水源脈モデル」を否定し、中心となるイメージから前置詞の意味を知るのではなく、あくまでひとつひとつの使用されたものから意味理解はなされるという立場に立ち、byを使ったコーパスからbyやbyが使われている成句を検討する。byだけで一冊の本になるほどに奥が深い。by専用のレファレンスにもなる。2022/07/12
Nobu A
5
やや高額な研究書の購入動機はずばり本著のオンライン無料講演会に参加する為。何かしら学び、講演会視聴による学習効果を目論む。著者の博士論文を一般向けに専門用語に簡単な解説を付けたりと修正を加えて書籍化。多義語の定義付けから始まるが、タイトルの「多使用」論には言及なし。英語母語話者のように前置詞「by」を習得するにはどんな知識が必要かと言う仮説の回答がどのような内容が伝達出来るかを知っていること。膨大な言語データを使用。分かったようで分からなったような。個人的には教授や学習応用が知りたかったが、講演会に期待。2021/06/10
たか
4
byはたった2文字の前置詞だけど奥深いね〜2019/10/20
こたろう
2
byの使用を通して、言語の奥深さを教えてくれる本。序章では認知言語学の本書のスタンスが記載されていて、多くの使用により人は意味を獲得していくし、多義語というよりは、多使用だということを主張している。次の章からは、byにかかわる用例が多数紹介されている。こんなにbyというのは、どこにでも使用できて、柔軟性の高い語なのかと、誰しも驚くと思う。また、こんなに多くのbyを1つ1つ覚えるというのは………あまり現実的ではないような気がした。英語圏で生活して、生活の中でいろんな実体験のもと身につけるのが理想と感じた。2021/06/17
剛田剛
2
国文屋の自分にとっても示唆に富む内容だった。結語で筆者が言及している通り、この考察は決して英語という特定の言語のbyという特定の単語にのみ適用すべきものではない。新たな表現が創造される場や、学習者がある言語表現を新たに獲得する際に起きていることが何か、といったテーマは、言語という「現象」を取り扱う人間にとっては共通する難題である。2020/12/22