出版社内容情報
二重主語問題の代表的例文を書名に、鮮やかな変形操作と千以上の生きた例文を駆使し「ハ」の本質を明らかにしたベストセラー。現在の日本語学研究に海外にまで大きな影響をもたらした一冊。三上章の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
55
千葉市若葉図書館から借りてみたら先日本屋で読んだソフトカバーのとは違ってかわいい装丁のハードカバー(1980年第17版)だったが、内容と読みにくさに変わりはなかった。2016/12/11
takaC
53
右から左に読む縦書きのページの中に、左(のページ)から右(のページ)に読む横書きのコンテンツが混じっているので、読みにくいったらありゃしない。2016/12/05
かんやん
32
「甲は、乙に丙を紹介した」という文は、「甲が、乙に丙を紹介した」「乙は(に)、甲が丙を紹介した(人だ)」「丙は(を)、甲が乙に紹介した」等書き換えられる。係助詞「は」は、主語を必ずしも表すわけではなく(「昨日は、雨が降った」)、助詞「ガ、ノ、ニ、ヲ」を代行する(「象は鼻が長い」→「象の鼻が長い」)という。主語ではなく、題目。英語等の主語-述語関係は日本語の構文に見られないよと。普遍的な文法(原理)が心的に存在するとして、パラメータで言語を説明するような言語学への批判として読める。評価はどうなんだろう?2022/07/16
ゆーぼん
9
本書で筆者は、「日本語の助詞『は』には主題を表す本務と他の助詞を代行する兼務とがある」と説いている。これは我々が学校で学んできた文法とはまるで違うものであり、まさに目から鱗であった。これほど曖昧で汎用性の高い単語が存在することこそ、まさに日本語の真骨頂であり、日本語の美しく難しいところなのだろう。とても面白い。主語廃止論については些か言い過ぎな気もしたが、総じて非常に明快で筋の通った主張だと思った。文章も、例文が非常に豊富に示されていて読みやすい。多くの人におすすめできる作品だ。【★★★★★、☓】2021/06/17
宙庭隼人
5
主語廃止論で有名な一冊。西洋の文法を無批判に輸入してる、と学校文法を非難。実例が多い印象。主語と主格の関係は、別の本で勉強中だが、「主語は補語的な役割をする」という話が面白かった。2015/12/25