内容説明
盲目の聖人への信仰から吟遊詩人、中世フランスの救済院、ウクライナのゴブザーリ、さらに琵琶、リュートの歴史まで…。音楽や語り物、宗教儀礼など特異な文化の担い手であった盲人たちの世界。
目次
第1章 聖オディール信仰と開眼伝説
第2章 盲目の聖人、ブルターニュの聖ハーヴェイ
第3章 キャンズ・ヴァン救済院と盲人
第4章 盲目の托鉢修道士
第5章 「盲目の乞食が犬にひかれて歩む絵」
第6章 遍歴・放浪する芸人・楽士
第7章 琵琶の系譜、リュートの道
著者等紹介
永井彰子[ナガイアキコ]
1936年生まれ。東北大学卒業、九州大学大学院博士課程修了、比較社会文化博士(九州大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
3
中世ヨーロッパの盲人に絞った本は初めて見た。とはいえ網羅的な中世盲人論というわけではなく、盲人の描かれた古いスイスの一枚の絵画のことを調べていくその過程が軸になっていて、スイス・ドイツあたりの一部の地域の盲人施設の来歴や発展、当時の状況などがメイン。論の進め方は丁寧で、読みやすい文章。引用先に邦語文献が多いのは、西洋中世史が専門の人ではないからのようだが、調べ方は心得ています、みたいな感じがひしひしと伝わる。まじめそうな人だ。地方の出版社の本には劣悪なものが少なくないが、これは当たり。2016/01/04