内容説明
『万葉集』に詠われた故地を探し求め、「万葉のこころ」を1枚の写真に捉える―誰も成し得なかった試みに挑んだ写真家・榊晃弘渾身の作。九州全県61カ所を収録、万葉ファン待望の書。
目次
しらぬひ筑紫の綿は身に付けていまだは着ねど暖けく見ゆ(沙弥満誓)
思はぬを思ふと言はば大野なる三笠の社の神し知らさむ(大伴百代)
大野山霧立ち渡るわが嘆く息嘯の風に霧立ちわたる(山上憶良)
妹が見し楝の花は散りぬべしわが泣く涙いまだ干なくに(山上憶良)
世の中は空しきものと知る時しいよよますます悲しかりけり(大伴旅人)
わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも(大伴旅人)
春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ(山上憶良)
見えずとも誰恋ひざらめ山の末にいさよふ月を外に見てしか(沙弥満誓)
残りたる雪に交じれる梅の花早くな散りそ雪は消ぬとも(大伴旅人か)
わが宿に盛りに咲ける梅の花散るべくなりぬ見む人もがも(大伴旅人か)〔ほか〕
著者等紹介
榊晃弘[サカキテルヒロ]
1935(昭和10)年、福岡市生まれ。1958年、西南学院大学商学部卒業。受賞、昭和48年度・日本写真協会新人賞(写真集/写真展「装飾古墳」)、昭和59年度・日本写真協会年度賞(写真集/写真展「眼鏡橋」)、昭和59年度・土木学会著作賞(写真集『眼鏡橋』)、1991年度・第16回伊奈信雄賞(写真展「歴史の町並み」)、平成5年度・福岡市文化賞、平成14年度・福岡県教育文化表彰。所属、日本写真協会会員、福岡県美術協会副理事長、福岡市美術連盟理事。福岡市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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