内容説明
最後の秘境・洞窟を潜る。日本最大の鍾乳洞「秋芳洞」の最奥部を目指し、ケイブダイビング(洞窟潜水)により数々の新洞窟を発見してきた洞窟探検家が、より深く、より奥へ、暗黒の世界に挑み続ける者たちの夢と軌跡を綴る。
目次
序章 未知の暗黒への挑戦
第1章 秋芳洞探検の先駆者たち
第2章 ケイブダイビング修行時代
第3章 前人未踏の暗黒の水中へ―第三新洞の発見
第4章 さらに奥を目指して―第四・第五新洞の発見
第5章 ケイブダイバーの聖地へ―英国ブリストルでの出会い
第6章 秋芳洞緊急調査隊
第7章 秋吉台で一番長い日―第六・第七新洞の発見
第8章 秋芳洞の最奥部へ
終章 暗闇に光を届けるために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yu01
4
日本のケイブダイビング(洞窟潜水)を拓いたひとりの探検物語。山口・秋芳洞の観光コースの途中にある地底湖、それを潜った先に、全長8.7km・日本最大・人跡未踏の洞窟が拡がっているとしたら…!空気も、光も、重力もない空間…。でも、それが未知の探検であるほどすぐには評価されず、当然著者は社会的に苦しむ…ひりひりするような承認欲求と挫折と一筋の希望…そのあいだを揺れ動き、もがき、這い上がるその半生は、暗く冷たい潜水に苦しみながら新洞の発見を繰り返す彼のケイビングに重なるよう…といったらできすぎかな。2013/08/21
粉っしー
1
定期的に読みたくなる。暗黒、崩壊する精神。人間の何かに命をかける精神性はどこから来るのか。ケイビングのロープを握りしめて部屋で一人泣くといった人間的なエピソードもまた好き。2023/08/16
roxy
0
世間一般のマリンスポーツとは一線を画し、まさに失敗の許されないケイブダイビングの世界を垣間見させていたたきました。命を賭けた偉業達成後、最愛の奥様との別れを経験し、パニック障害のようになってしまった筆者の戦いの様子は、さながら宇宙飛行士が地球帰還後に経験する燃え尽き症候群の様で、胸に迫ります。未踏の領域を探検する者のみが知る孤独や高揚感を赤裸々に見せてくれる、単なる冒険物語に終わらない貴重な作品です。2005/01/03