感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
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椚山義次、富永國比古両氏が、キリスト教の立場から『銀河鉄道の夜』を論じている。論調はかなり異なり、前半担当の椚山氏は大胆な解釈に息を呑む箇所がある反面、論拠が不十分だったり強引と思えるケースも目立つ。後半の富永氏は逆に、丹念に議論を積み重ねるタイプのようだ。二人とも、作品の広範囲にわたって聖書やダンテの著作の影響があることを具体的に指摘していて、これを読むと(作品に込められた作者のメッセージについては種々議論があるだろうが)少なくともストーリー上ではキリスト教の影響が大きいと感じた。2018/07/26