内容説明
各作品解説と作家・評論家による批評。ヴィスコンティ自作を語る。
目次
Essay(私とヴィスコンティ(淀川長治)
ルキノ・ヴィスコンティふたたび―生誕110年、没後40年によせて(海野弘) ほか)
Biography(映画監督ルキノ・ヴィスコンティの軌跡)
ヴィスコンティ各作品解説・物語・自作を語る・批評(「郵便配達は二度ベルを鳴らす」;イタリアン・リアリズムの確立 ほか)
Review(ヴィスコンティとアメリカ映画をつなぐ細い糸の結び目(渡部幻)
ヴィスコンティは日本でどう受け止められたのか?「地獄に堕ちた勇者ども」と「ベニスに死す」(石田美紀))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
22
今回は「若者のすべて」を見てきたので、その部分を再読。家族の物語って、人の根幹部分でありもっともややこしいもの…だけど、またそれを見せられるのか。3時間も。アラン・ドロンの若い頃と1960年頃のミラノの街が見られる。だから我慢してみたとも言える。男ばかりの5人の兄弟と母が貧しいイタリア南部の村から、華やかな都会へ移住してきた話。作品評を書いた寺山修司の若い頃の上京と似通ってるのかもしれない。ヴィスコンティが冴える。まとまっていた一家を分断させていく。残酷なドラマティックさは寺山修司には描けなかったなぁ。2025/03/16
A.T
21
個人的な心理状況とリンクしているのか…「ヴェニスに死す」に引き続き、今日は映画館で「家族の肖像」を鑑賞。繊細さと暴力、伝統と破壊の凶暴なまでのやりとりが次々と刺さる。もっと見たい、もっとヴィスコンティをくれ!…叶えられないモヤモヤをこの一冊で何とか落ち着かせた。安直だが。過去掲載された評論の再編集だと思われ、淀川長治、増村保造、佐藤忠男、寺山修司、澁澤龍彦、蓮實重彦、白石かずこ…など興味深い面々の寄稿がまた、興味深い一冊。2025/03/02
Kajitt22
21
『地獄に落ちた勇者ども』に感動し当時3度も観たのに他の作品は未見だった。ちょうどこの本を眺めているとき、BSで『山猫』を観てヴィスコンティの凄さを再認識。淀川長治氏の公開当時の解説が掲載されていて素晴らしい。「この映画は、今現在から50年後にいたるも驚きと感激の目で見つめられるであろう」。まさにその通り。『ルードリッヒ』もぜひ観たい。ヴィスコンティファンは必携です。同じパルムドールでも『万引き家族』は残念だが数年で忘れ去られるだろう。2018/07/05