感想・レビュー
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夜間飛行
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60才までの日記は、簡潔な書きぶりで俳句や食べ物も載せ、小津の周りにあった素材と、それへの心境を読み取れる。昭和14年の記事は長めで、戦地での様々な思いを率直に綴っている。戦後の仕事や交友を記した記事に漂う無常観も心に迫る。日記末尾で頸部腫瘍の痛みを見せない淡々とした記述には凄みを感じた。「全自作を語る」は大いに参考になった。長屋紳士録…《外国映画を見てきたのに少しも前と変わらない》、麦秋…《輪廻や無常を描きたかった》、秋日和…《劇的なものを取り去り、泣かさないで悲しみの風格を出す》。ほか関係者の文多数。2021/02/15
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