内容説明
韓国のジャーナリズムが言論の自由を失っていった1970年代、新聞記者を辞めた筆者は出版社を起こした。書かれるべき本、読まれるべき本を、自分の手で出版するためだった。発禁処分も恐れずに『解放前後史の認識』に挑み、韓国人にとってタブーであった日本人著者の翻訳本『ローマ人の物語』(原作・塩野七生)はロングセラーとなった。「正しい歴史認識を追求しよう」という韓国人の願いが、過去の出来事の反省だけではなく、「今ここからの歴史を築く」という意味をもつことを、この本ではじめて知ることになるだろう。
目次
今も思い出す偉大な思想家、咸錫憲先生―咸錫憲先生の本を読み、つくりながら
一日たりとも忘れたことのない祖国と故郷―ベルリンでの尹伊桑先生へのインタビュー
私は歴史の道を歩きたい―言論人・宋建鎬先生との対話
私は真実を明らかにするために書く―李泳禧先生の『偶像と理性』をつくって
母と祖国が教えてくれた言葉を守りたい―李五徳先生の教育運動、国語・作文運動
発禁となった朴玄〓(さい)先生の『民族経済論』―本をつくり国土をめぐる
歴史の前で民衆とともに―神学者・安炳茂先生との出会いと本づくり
マルク・ブロックの『歴史のための弁明』―正義の歴史は決して死なない
私は現実を改革しようとする現実主義者です―スパーセラーとなった塩野七生先生の『ローマ人の物語』
ハンギル社を訪れた偉大な歴史家ホブズボーム先生―歴史に関心を持つことは未来に希望を託すこと〔ほか〕
著者等紹介
金彦鎬[キムオノ]
出版人。ハンギル社代表。1968年から1975年まで「東亜日報」に記者として勤め、1976年にハンギル社を創立。1980年代から出版仲間とともに、韓国における出版の文化や自由を守り発展させる運動を展開する一方で、1998には韓国出版人会議を創設して第1、2代会長を務めた。2005年から韓国・中国・日本・台湾・香港などの人文学出版人たちと、出版運動・読書運動に乗り出しており、2008年から2011年まで東アジア出版人会議の第2期会長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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