著者等紹介
李春喜[リーハルキ]
昭和38年大阪府に生まれる。平成8年関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程所定単位修得後退学。文学修士。現在、関西大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
18
ごく短い掌編の詰め合わせなのだけど、飽きずに読める。語られているのは、どこか皮肉だったり、不気味だったり、奇妙な雰囲気や不穏さがある話ばかり。けれど、どれもそれをこれみよがしにすることなく、あっさりと表現している気がして、油断していると読み逃してしまいそうになる。そしてなにか落ち着かなくなる。この読後感が独特で、良かったです。2020/07/18
ekoeko
3
エッセイみたいなお話ばかりで短いので気楽に読める。「パイプライン」パイプライン内で遊んでいた学生たちの悲劇的な結末にゾッとした。「花束」結婚したら毎日妻に花束を贈ることを条件に結婚のした夫のお話。毎日の花束が負担になり結局離婚。そんな約束をしなくても妻は結婚してくれたことに気がつき傷つくが約束を守ったという信念で満足する男が何だか哀れ。2020/03/13
ねこねこ
2
短くて1頁、長くても3頁程の短編(ショートショート?)100編からなる一冊。ギリギリありそうでなさそうな話たちがどれもおもしろく、ページをめくる手が止まらず一気読みしてしまった。特に好きな話は「選挙」「近道」「入れ替わり」「下線の引かれた頁」「マリア像」「明晰夢」←いちばんおもしろい!「道順」「空洞の扉」「ペテン師」「左利き」「おかしな人たち」「妄想」←怖い!「簡潔」。挙げなかったけど「パイプライン」は2頁でイヤミス一冊分の恐怖。「下線〜」と「空洞〜」は数少ないほっこりできる展開があって嬉しい。2024/04/11
タキタカンセイ
2
誤解や思い込みや言い間違い聞き間違いをネタにしたショートショート集。「左手のための」というのはヘタウマみたいな意味合いなのだろうか。?という読後感が面白い。2020/03/29
Eu
1
原題は「エピソード」ではなく「アネクドート」になっている。左手のための作品というのはしばしば(左手が天才的に動くピアニストではなく)右手を失ったピアニストのために書かれるものだけれども、見ることや言うことについて率直さを失ったり抑圧されている状態の人が書いたり読んだりすることのそれ独自の輝きのようなものが短編の形で現れ出ていたと思う。2021/12/16
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