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著者等紹介
コイン,イルムガルト[コイン,イルムガルト] [Keun,Irmgard]
1905‐1982。ベルリン生まれ。デビュー作『ギルギ―わたしたちのひとり』(1931)と第二作『人工シルクの女の子』(1932)でセンセーショナルな成功を収め、一躍人気女流作家となる。ナチス政権下で作品が禁書となり、1935年ドイツを去る。ベルギー、オランダ、フランス、アメリカでの亡命生活から『真夜中過ぎ』(1937)をはじめ数々の小説が誕生。1940年偽名を使って帰国。戦後出版した作品は注目されなかったが、1970年代後半、女性作家への関心が高まる社会状況のなか、再評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
10
1932年、18歳のドリスはキラメキになることを誓う。ベルリンを舞台にした、おしゃまな女の子ドリスの冒険活劇。「私、キラメキになる」というセリフに象徴されるように、第2次世界大戦前夜のドイツという重さはまったくない。したたかで、愛嬌があって、ちょっと口が悪いところは『地下鉄のザジ』のザジを思い出す。迷いながらも生きていく少女の物語。出版元が大学出版部ということで広報活動にはあまり力を入れていないのでは? 聞いたことない小説だったけれど、とてもおもしろい一冊。現代的な翻訳も物語の雰囲気に合っていた。2016/05/24
tekka
1
ワイマール時代のベルリンを舞台に、若い女性である主人公ドリスが格差や家父長制の壁にぶつかりながら、自由と成功求めてさまよう姿を自らが手記として綴ったという形式の作品で、発表当時は大変な話題となる。戦後に発表した作品は注目されなかったが、70年代後半のフェミニズム運動の際に本書が再評価を受けたとのこと。文章のグルーヴ感といい、今日的なテーマといい、再評価も納得というか当然の作品。デビュー作の「オフィスガールの憂鬱―ギルギ、わたしたちのひとり―」が図書館になく、アマゾンでもエラい値がついてるので復刻希望。2022/04/09