感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
「私は前に、「大阪を離れてからの迢空の生涯は、二度と大阪へ還るまいという意地を貫いた一生だったように思われる」と書いたが、迢空がその人生の大半を<大阪びと>としての自覚を失わないまま東京に住みとおしたということは、旅人としての生涯を送ったということにもなる。つまりジムメルのいう「異郷に暮すという、二重の意味での幸福」を享受し得たわけである。この「漂泊への憧憬と、故郷への憧憬」ーこれはまさに、迢空の〈妣が国へ・常世へ〉の発想そのものではなかったか。迢空の生涯はこの点でも流離する貴種の生涯であった」2022/10/14
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