目次
序章 懐かしい景色のなかで
第1章 入学式それぞれの思い
第2章 畑を駆け足、ゴム長で
第3章 タキイ三倍速の法則
第4章 夏の陣「声出していこうか!」
第5章 場員は生徒を育てる農家
第6章 収穫明日に向かって
第7章 畑が育てる
「こんなときだからこそ」あとがきに代えて
第64回(平成二十二年度)卒業生名簿
著者等紹介
川上康介[カワカミコウスケ]
ジャーナリスト。1971年、鹿児島県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。株式会社文藝春秋に入社し、「週刊文春」、「CREA」、「TITLE」などの雑誌編集に携わる。その後「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)編集部を経て、2009年に独立。ファッションからスポーツ、農業など幅広い分野の取材、執筆を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
R
43
全寮制の農業に関する専門学校の一年を追ったノンフィクション。高校出たばかりだけでなく、大卒、元社会人、大学休学など、様々な出自の男性が集まって生活をすることで、人間的に成長していく姿が描かれていて興味深かった。ここだけ昭和なのかと思うような世界観で、古臭い一人前の男への道を上っていく姿ともとらえられるが、実際に人間的成長とは単純にこういうことじゃないかとも思ったりした。2021/12/11
キキハル
23
タキイの種のカタログは以前利用していましたが、こんな学校があるとは知りませんでした。学校というより全寮制の訓練所です。農業のノウハウを学びますが、まずは走ることから。そして整理整頓。彼らは心身ともに鍛えられ短期間のうちに変わっていきます。ヤンチャな子ほど変化は大きいようです。学習の締めくくりである兎狩りや寮祭のなんと楽しそうなこと。彼らなら農業以外の職についても有能な社会人としてやっていけるでしょう。卒業しても一生の友であり続けるにちがいない、そんな濃密な期間。土は植物も人も育ててくれるのです。2014/02/05
犬こ
22
滋賀県にある全寮制の農業学校「タキイ研究農場付属園芸専門学校」の取材レポ。若い青年たちが一年かけ、過酷な環境の中で農業を学び、共に生活をしていった結果、入った当初の農業に対する漠然とした考えから、農業へのしっかりした自身の考えに変化した姿が清々しかったです。こういう職に直結した学校や機会がもっと増えたら、若者に早くから、やりたいことや、自分の向き不向き、理解させてあげられるなと感じます。2017/04/10
booklight
17
農家ご用達のタキイ種苗の研究所付属専門学校の物語。タキイが次世代の農業をけん引する自分を育てるために、無料で行っている。全寮制で集団制でプライベートもなく激しい農作業を実際に行うため。24歳以下の独身男性が条件。今時、と思うが集団制は社会性を身に付けるため、機械化せずに手作業で行うのは、機械が壊れた時でも作業を行えるように、また得意不得意を皆で助け合うようにするため。実業に直結なので真剣度が高い。また、卒業生は会社員としても引く手あまた。皆、ハードだけど笑顔で充実しているようで読んでいて気持ちがよかった。2018/12/16
ふう
10
いかに機械化されても、基本、人の肉体で対処するのが農業。逞しい体に精神力が備わって、さすがタキイ。何となく『銀の匙』が浮かんだが、あくまでもここは農政とは別の世界。2021/12/19