内容説明
第21回歴史浪漫文学賞創作部門優秀賞。吾妻錦絵創始者・鈴木春信と長屋の大家・穂積次郎兵衛の二つの顔を持つ男の異能の人としての足跡をたどる。
著者等紹介
伊原勇一[イハラユウイチ]
1953年、東京生まれ。早稲田大学卒。33年間、埼玉県で公立学校の国語教師を勤める。著書多数。2021年、『春信あけぼの冊子』(筆名:竹里十郎)にて第21回歴史浪漫文学賞・創作部門優秀賞(1編)を受賞。『鈴木春信 あけぼの冊子』はその改題作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
13
多色摺の錦絵版画の創始者とされる鈴木春信は、京の絵師西川祐信の門下の高弟として長くいたが、宝暦12(1762)年に江戸に戻り、高禄の旗本の世話で神田白壁町の長屋の雇われ大家となり、穂積次郎兵衛としては大家の仕事をし、絵師としても売れっ子となった。嘘のような話しだが、その長屋には平賀源内も店子だったとか。 酒好きが祟ったのか、江戸での活躍は10年足らず(享年46歳)で、小説としても小品だが、江戸後期の文人たちの若い頃が描かれているのもおもしろいし、著者のお薦め通り、画を見ながら読むのも楽しい一冊でした。2021/09/17