内容説明
近世関東における石灰産地としては、「八王子石灰」「野州石灰」と、江戸内湾において貝殻を原料に生産された「蠣殻石灰」の三つがあった。本書は、八王子石灰旧竃主の家である旧武蔵国多摩郡北小木曽村(現東京都八王子市)の木崎義平家に伝わる所蔵文書の内、冊子となっている一群の文書類28冊分を翻刻し、読み下し文を付けたものに、語句解釈と史料研究を加えたのもである。石灰を必至になって生産し流通させ、江戸に繰り出し、江戸商人と当たり、会所の町人や町名主だけだけではなく、勘定奉行・江戸町奉行とも対決する。その竃主たちの記録。
目次
1 運上灰請負一件裁許につき石灰釜元・石灰請負人請書(享保十二年二月)
2 他国石灰入津の儀につき八王子石灰釜主願い書留(延享三年~寛延四年)
3 八王子石灰釜主ら他国石灰入津停止願い書留(寛延二年四月)
4 他国石灰入津につき運上免除願い書留(寛延二年六月)
5 八王子石灰釜主これまで通り運上釜仰せ付け願い下書(宝暦八年八月)
6 八王子御用石灰所請負願い書留(明和元年九月)
7 八王子御用石灰会所請負関係規定綴(明和三年八月)
8 懸札勝手取扱につき処分一件書留(明和四年八月)
9 御用石灰運上につき取り替わし証文書留(安永三年)
10 三手会所許可につき八王子石灰釜主一礼(午(安永三)年六月)
11 三手会所設立につき八王子石灰釜主仕法帳(安永三年六月)
12 八王子石灰仕入れ残金出入一件書留(安永三年七月)
13 八王子石灰一件書留(安永四年)
14 一橋家御用石灰焼出し一件書留(寛政四年十月)
15 仕入金返金滞りにつき金主願い書(寛政五年十一月)
16 三人方仕法に対する五人方返答書(寛政五年十一月)
17 石灰・蠣灰取扱い請証文書留(寛政六年十一月)
18 上州下仁田村無焼印石灰一件書留(寛政八年九月)
19 御用石灰仕法改め一件書留(寛政十一年)
20 石灰問屋株願い始末一件書留(寛政十二年二月)
21 石灰稼ぎ人名前(寛政十二年五月)
22 八王子石灰旧記(寛政十二年十一月)
23 東叡山学寮より金子借用の有無につき石灰釜主ら返答書(享和元年九月)
24 石灰仕入金借用につき証拠地一札(享和三年九月)
25 八王子石灰釜主関八州石灰出所につき願い書ほか書留(文化四年七月)
26 石灰売り方ならびに諸掛かり仕用帳(文化五年三月)
27 八王子石灰御手焼願い書(文化五年三月)
28 八王子御用灰渡世継続願い書(慶応四年八月)
著者等紹介
川勝守生[カワカツモリオ]
1972年10月8日、東京に生まれる。1992年4月、東京大学教養学部入学。1994年4月東京大学文学部進学。1998年4月、東京大学大学院人文社会科学研究科博士前期(修士)課程入学。2002年4月、東京大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程進学。2006年5月17日、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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