内容説明
本書は、たばこと塩の博物館特別展「広告の親玉赤天狗参上!」(2006.1.28-3.12)における展示関連講演会の記録である。日露戦争の最中の1904年に煙草が専売となる以前、明治のたばこ王といわれ、国産紙巻きたばこ「天狗煙草」の製造販売をし、奇抜な宣伝広告で世間の注目をあつめた岩谷松平(いわや・まつへい:1849-1920)。特別展では、岩谷の生涯と明治のたばこ史を振り返ることを主眼としたが、講演会では、彼が生きた「明治という時代」とは、いったいどのような時代であったのか、また彼が、その時代にどのような影響を与えたのか、という視点から行った。明治の起業家の理念・熱意、明治国家が産業振興のために開催した博覧会、そして明治期を彩った広告とそれを支えた印刷技術。そのどの場面にも岩谷松平は登場する。
目次
世紀転換期の起業家たち(世紀転換期という時代;第2の開国―「内地雑居」;「金色夜叉」の時代;世紀転換期の起業家たち;たばこが与えた影響)
内国勧業博覧会と実業界(内国勧業博覧会の開催;内国勧業博覧会と実業界;社史に見る内国勧業博覧会;たばこ業界と内国勧業博覧会;博覧会の効果)
明治期の広告(文明開化と近代広告の幕開け;江戸期から継承する広告と表現様式;新しいものへの挑戦、ニューメディアの登場;明治のニュービジネス 広告代理業の誕生)
明治時代の印刷技術(石版印刷;オフセット印刷の登場と石版印刷の頂点;写真術;コロタイプ;木版印刷;活字・木口木版)
岩谷松平遺品の旅(松平遺品の旅;子孫から見た松平のこと;松平という人物)