内容説明
1994年中央アフリカの小国ルワンダで起きたフツ族によるツチ族への大量虐殺。いかに虐殺行為が計画され、いかに実行されたのか。突発的な虐殺ではなく、予告までされていた事実。国際社会は止めるチャンスがあったにもかかわらず、見逃した事実から、裏に隠された国際社会の対立構造まで、生き残りの人々の証言で詳細に綴った緊迫の一冊。全米書評家協会賞・ニューヨークタイムズ、ロサンジェルスタイムズブックアワード他で絶賛。
著者等紹介
ゴーレイヴィッチ,フィリップ[ゴーレイヴィッチ,フィリップ][Gourevitch,Philip]
1961年生まれ。「ニューヨーカー」などのスタッフライターとして活躍
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
36
ルワンダにおいての虐殺を停めたのは、国連軍ではなく、西側でいう反政府ゲリラであった。虐殺側のフツ族は難民として国外に去り、そのキャンプ地において、また帰還事業においてルワンダにおける死者数を上回る犠牲を出した。国際社会という名の、強国の利害は虐殺を無視し、そして加害に加担した。あとがきにもあるが、当時の国連高等難民弁務官は日本人女性。彼女の活躍を好意的に報道していた記憶がある。確かに救うに値しないアフリカの野蛮人と、関わりを持って自国に損失を出さなかった事は、賛美に値するだろう。残念だが、これが世界だ。2021/06/05
koba
12
★★★★☆
そのあとに続く
11
再読;『ゴキブリ』『キャベツ売り』『奴らを抹殺する』政府主導の虐殺も反政府との一時停戦が結ばれる。それはなにも国連が有効打を打ったとは言い難い。難民として隣国に辛うじて辿り着いた人々も、そこには同じ“ルワンダ人”として難民キャンプに入れられ暴力が待っている。強いPTSDに悩まされる生存者、犯した殺人を正当化しながら逃げる者。規模としては前代未聞だが、民族浄化の名のもとの虐殺は初めてではないし、これが最後になるかは疑問が残る。2015/02/07
梟をめぐる読書
7
虐殺それ自体は言わずもがな、事後の経過があまりにも悲しい。曰く、ツチ族はジェノサイドの怨みは一日も早く「忘れて」、国外逃亡したフツ族難民と「仲良く」手を取り合い、そして「明るい」ルワンダの未来を築いていこうではないか、と……。いったい、なぜ家族や友人を奪われたツチ族生存者がテロを企てる「危険分子」のように扱われ、かつて殺人を犯したフツ族が復讐に怯える「かわいそう」な対象として国際的に匿われなければならないのか。本文中の「ジェノサイドはまだ終わっていない」という言葉が心に残る。2011/10/16
月をみるもの
5
GYAO で「ホテル・ルワンダ」を見たので、思い出して登録:http://gyao.yahoo.co.jp/player/00837/v09931/v0969400000000540280/2015/08/16