出版社内容情報
盧溝橋事件を発端とする日中全面戦争期の両国において、「七月七日」が如何に戦時国民動員に結び付けて記念されたかを比較検討。本書は、盧溝橋事件を発端とする日中全面戦争期の日本と中国において、「七月七日」が如何に戦時国民動員に結び付けて記念されたかを比較検討し、その過程で構築された日中戦争像の差異を考察したものである。同時代の戦争認識の形成過程と、そこに生じた両国の差異がどのように戦後に継承されたかを確認し、戦時と戦後との連続面に留意した長期的な日中戦争像を提供する必要があるという問題提起をおこなう。
序章 本書の研究課題_
第一節 問題関心-戦争認識の比較研究
第二節 戦後を対象とする先行研究とその問題点
第三節 戦時動員と戦争認識の構築-集合的記憶というアプローチ
第四節 なぜ「盧溝橋事件記念日」なのか
第五節 本書の構成と主要資料
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第一章 聖戦の語り
日本本土における「支那事変周年記念」と加害不在の日中戦争像
第一節 盧溝橋事件の勃発と「自衛戦」観の流布
第二節 大義名分のない戦争と「聖戦」の提起
第三節 「支那事変周年記念」要綱と「聖戦」の語りの構造
第四節 事変周年記念活動に見る日本社会の日中戦争像
おわりに 「聖戦」の語りの変貌と「支那」の不在
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第二章 平和の語り
中国占領地に見る盧溝橋事件記念活動の諸相と対日協力政権のジレンマ
第一節 「聖戦」記念日の影響と抗日宣伝に対する反宣伝
第二節 占領地における「七七記念」の相とその特徴
第三節 「七七記念」「の意義と「日中平和」
おわりに 「平和」の語りの破綻と政権正当性の喪失
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第三章 建国の語り
重慶国民政府による「抗戦建国記念日と抗戦像の構築
第一節 未完の建国プロセスと戦時体制の発足
第二節 「抗戦建国記念日」と「建国」の語りの構成
第三節 「国統区」における記念活動の展開
おわりに 「建国」の語りの継続と陸軍記念節としての「七七」
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第四章 革命の語り
ヘゲモニー争いを内包する中国共産党根拠地の「七七記念」
第一節 中共革命の路線転換と「抗日民族革命」
第二節 「辺区政府」にとっての抗戦建国記念日
第三節 根拠地を中心とする中共式「七七記念」
おわりに 「革命」の語りの独占と選別された抗戦像の継承
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終章 「盧溝橋事件記念日」に見る日中の戦争認識の差異
第一節 日中戦争像の構築を伴う「真実」と「忘却」
第二節 日本と中国の戦争認識における差異
第三節 日中の異なる戦後とそれぞれの継承された戦争認識
鄒 燦[スウ サン]
著・文・その他
目次
序章 本書の研究課題
第1章 聖戦の語り―日本本土における「支那事変周年記念」と加害不在の日中戦争像
第2章 平和の語り―中国占領地に見る盧溝橋事件記念活動の諸相と対日協力政権のジレンマ
第3章 建国の語り―重慶国民政府による「抗戦建国記念日」と抗戦像の構築
第4章 革命の語り―ヘゲモニー争いを内包する中国共産党根拠地の「七七記念」
終章 「盧溝橋事件記念日」に見る日中の戦争認識の差異
著者等紹介
鄒燦[スウサン]
中国湖南省出身。2008年中国南開大学歴史学院卒業、2011年同学院で修士課程修了。2016年大阪大学法学研究科で博士(法学)取得。専門は日中戦争史、近代日中関係史、政治的シンボルと記憶についての研究。現在大阪大学院国際公共政策研究家助教(Assistant Professor)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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