内容説明
城下町絵図や宗門人別改帳などを手がかりに、近世武家地に生きた人びとの姿を照らし出す。
目次
第1章 近世都市史における武家地研究
第2章 城下町絵図の様式変化と武家地管理の展開
第3章 拝領屋敷の利用にみる武士の屋敷観と武家地管理政策の展開
第4章 武家の異動に関する願書申請とその審議過程―縁定・隠居等の異動を中心として
第5章 武家の宗門人別改帳の作製とその役割
第6章 結びにかえて―城下町研究の今後の展開
著者等紹介
渡辺理絵[ワタナベリエ]
1977年生まれ。茨城大学教育学部教員養成課程社会科専修卒。茨城大学大学院教育学研究科修了。大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻人文地理学単位取得退学。2006年博士(文学)大阪大学。2005年より茨城大学教養センター非常勤講師。2008年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)として筑波大学に就任予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
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「拝領屋敷」として領主から各武士に年限的に与えられた武家屋敷が、江戸中期以降に資産化・固定化していき、一方で転用(転売)されていく。そもそもは近世「城下町絵図」を見るなかで、なぜ武家地のみ敷地や家主の表記が詳細なのかという問題意識から発した検討です。江戸との比較や地租改正(武家地の近代化)の課題も含めて、武家地はそもそも拝領屋敷であるという性格が、屋敷地の流動性について差のある外様・譜代の間で、城下町絵図の武家地表記に違いを生んでいたりと、「武家地の管理構造」に関して資料調査の実感に戻るような研究だった。2021/01/20