内容説明
消費社会の喧燥を脱し、『走らされる前に、歩くんだ』と覚悟して始まった夫婦二人の山暮らし。厳しい環境の中で腰をいため、指に豆をつくりながらも、循環する自然の営みの一員となって山の気で心の根を洗い、湧き水で体を潤す。しかし、人は確実に年をとる。張り詰めた日常にいつまで耐えられるのか。現代人がどこまで自由に歩けるかを真摯に追求した、労働と思索の清冽な記録文学。
目次
序章 もうひとつの生き方を探して―インド・東京・そして信州の山村へ
第1部 清水平(現代の疎開;森の呼吸・ランプの暮らし ほか)
第2部 巣寒多(伊那谷の廃村へ;卯沢の流れ・薪の山 ほか)
第3部 山暮らしの周辺(冬の風呂で思った詩人のこと;モンペのダンディズム ほか)