内容説明
「南島」とはなにか。それは「山人」を消去し、同質的な「日本―日本人」を見いだすために政治的に作為された場所である。そこにおいて新国学としての日本民俗学は成立した。しかし、なぜ「山人」は消去されねばならなかったのか。ここは農政学・植民地政策学者として「韓国併合」に深く関わった柳田国男のスキャンダルが隠されている。折口信夫をラディカルに判批する書き下ろし論考を加えて、日本民俗学と《柳田―折口》という物語=イデオロギーを根底から解体する画期的評論の増補・改訂版。
目次
1 南島イデオロギーの発生
2 コメ難民の死
3 「遠野物語」の発生
4 「孤児」・「アイヌ」・「滅亡」・「常民」
5 折田信夫と柳田国男―沖縄への眼差し
6 折口信夫の戦争―『死者の書』の条件
7 柳田国男の台湾/台湾の柳田国男
8 「満蒙開拓」の“ふるさと”―「日本民俗学」とファシズム