内容説明
人のために何かなしたき傲慢を捨てよと言われただ祈りおり。突然襲いかかった不条理な運命を受け入れ、新しい命に生きる―病床の歌人が綴る心の歳時記。
目次
橙の色
春の湖
雛の顔
四月の旅
祈りの薔薇
水無月の夢
1 レインボーブリッジ(シジフォスの神話;月の兎 ほか)
2 忘れえぬ人々(希望の光;枝豆と罪人 ほか)
3 記憶の図書館から(『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』;『宇宙からの帰還』 ほか)
著者等紹介
有沢螢[アリサワホタル]
歌人。1949年、東京都生まれ。6歳より作歌。聖心女子大学を経て、1976年、早稲田大学大学院文学研究科日本文学修士課程修了。「短歌人」同人。現代歌人協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumicomachi
4
〈霜月は死者の月にて死者ミサにひざまずきおればフォーレ流るる〉四肢麻痺となった著者が口述筆記で綴るエッセイに短歌が添えられている本書は、カトリック信徒であり、歌人であり、病に倒れる前は国語の教師であった著者の信仰と教養、人との交流の深さ広さに基づいた滋味のある文章を味わうことができる。月刊『福音宣教』に3年間連載されたもので、1年目の章は季節に呼応した心の歳時記、2年目は忘れえぬ人々がテーマ、3年めは記憶の図書館と題した読書案内となっている。長谷川象映による装画は柔らかで奥行きがある。2020年4月発行。2020/11/15




