内容説明
クラブ・サロンの主役は「情報」である。特定の「情報」に特定の人たちが共感したり、反発したりする。あるいは「情報」のなかに、別世界をみようとする。クラブ・サロンは「情報」のキャラクターにこだわる。それは、ほかにはない、珍しい「情報」であることが望まれた。こうしたクラブ・サロンの「情報」は、歴史を代表する知性をつくり、また、もう一方では、歴史から排除され隠蔽されてきた。が、いずれにしても、クラブ・サロンの「情報」は、「情報の歴史」という舞台で、さまざまなターニング・ポイントを用意していったのである。
目次
第1章 クラブへの招待―人びとが集う場所(情報が価値をもったとき―ロンドンのクラブ文化から;反共同体のトポス―政治結社をめぐって)
第2章 メディアから消費へ―クラブとサロンの発生(情報ステーションの誕生―コーヒー・ハウスにはじまる;寝室に集まる人びと―フランスのサロン文化;狂乱の昼、歓楽の夜―サロン都市ベルリン)
第3章 多様なメッセージ―細分化するクラブとサロン(カルナヴァル空間の拡散と解体―19世紀フランスの文学サロン;自由をもとめる女たち―フランス革命と女性クラブ;クラブ・ザ・アンダーグラウンド―ヴィクトリア朝時代の秘密のネットワーク)
第4章 「数寄」から「連」まで―日本のクラブとサロン(寄合と会所―日本型クラブとサロンをめぐって;都市と密室―中世の茶室文化;連の場18世紀、日本のサロン)
第5章 蘇えるクラブ世界―もう1つの情報時代(クラブ近代史異説―領域を知らざる人びと;クラブ・サロンの編集史―テーブルを囲んだ情報装置)