目次
1 神秘の硝石
2 ヘンリー8世の火薬王政
3 エリザベス朝時代―限りなき安全を求めて
4 平和な王国の硝石
5 チャールズ1世の至宝
6 硝石革命
7 グローバル・パワーの硝石
8 新世界とアンシャンレジーム
著者等紹介
クレッシー,デーヴィッド[クレッシー,デーヴィッド] [Cressy,David]
英国生まれ。現クレアモント大学院大学歴史学研究教授。ケンブリッジ大学で4つの学位を取得。本書執筆時のオハイオ州立大学では、人文科学特別栄誉教授およびジョージ3世英国史教授を務める。専門は、主に近世イングランドの社会史
加藤朗[カトウアキラ]
桜美林大学名誉教授。1951年生。1975年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1981年同大学院政治研究科国際政治修士修了。同年~1996年防衛庁防衛研究所所員、同年~2022年桜美林大学国際部助教授、リベラル・アーツ学群教授。専攻:国際政治(安全保障)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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帽子を編みます
40
火薬(黒色火薬)の母とも言える硝石(KNO3硝酸カリウム)にしぼった大英帝国史です。鉱山で採掘するのかと思っていましたが、英国では自然採掘は出来ず涙ぐましい努力のすえかき集めていました。いわく鳩小屋の跡地へ、便所の跡地へ、王国許可証を携えた硝石採集人の横暴との領主、市民との戦い。硝石を効率的に採集するための実験、契約(むしろ空約束)、破産。戦争の必需品をどのように入手するかの戦略。あまり関心のない分野でしたが、いかにして大英帝国が成り立ったのかを考察する一冊でした。2024/04/10
金吾庄左ェ門
2
「鉄は国家なり」「ガソリンの一滴は血の一滴」とは我が国でも申しましたが、「コショウ一粒は黄金一粒」の言葉の如く、火薬製造のために硝石を確保する事と製造する事に血眼になっていたイギリスの政治的な事情がわかります。マグナカルタの国だけに、庶民の権利も多少は守ろうとする動きはあってもまだまだ王権は強く、硝石を確保するために王の名の下に庶民は土地をスッチャカメッチャカにされていました。おまけに火薬の製造が王室の独占事業とあっては、悪徳業者がはびこるのも無理はなかったでしょう。2024/09/15