内容説明
建築史家にして建築家、藤森照信。大地から生まれた素朴な姿の建築は、やがて木を登り、ついに空を飛ぶ。原始の様に大らかな未来へと向かう。
目次
生い立ち―モノ作りへの興味の芽生え
少年時代―「狩猟」と「皆でつくる」原体験
中学・高校時代―建築へ
大学時代―歴史へ
近代への志向と建築探偵のこと
路上観察学会とその仲間たち
現代建築評論に対する姿勢
設計のはじまりの頃―神長官守矢史料館
神長官守矢史料館1990‐91
スタンディング・ストーン=御柱?〔ほか〕
著者等紹介
藤森照信[フジモリテルノブ]
1946長野県茅野市生まれ。1971東北大学工学部建築学科卒業。1978東京大学大学院博士課程満期修了。1979博士論文「明治期における都市計画の歴史的研究」提出。1982‐2010東京大学生産技術研究所専任講師、助教授、教授。現在、工学院大学教授、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
26
いつか、テレビで見た「ニラ・ハウス」に惚れたが、いろいろ見ると個人的には、「神長官守矢資料館」がベスト。伊東さんの「土から生えているようで、上から降ってきたよう」が言い得て妙。嫌がるだろうけども、触れてたとおり「カワイイ建築」なんだと思います。2019/08/04
石油監査人
17
「藤森照信読本」を読みました。藤森氏は、著名な建築史家で、建築家としても、多くの個性的な作品を生み出しています。この本では、GA Japan編集部の二川由夫氏による藤森氏へのインタビューを中心に、藤森氏の主な建築作品を写真と文章で紹介しています。国内外の歴史的建築物に精通している藤森氏ですが、自ら設計するのは、カバー写真のようなジブリを思わせる可愛い無国籍な建物ばかりというギャップが面白いです。同時に、他の誰のものにも似ていない作品を生み出さなければならない建築家の苦闘も伝わってくる一冊でした。2021/03/06
kiri
1
濃い濃い!始終、有難いほどに濃厚な一冊でした。なにか他の建築とは世界が違うような気がする藤森建築の独自性、個性の由縁を少し知ることができた気がします。そのどこか現実離れした通称"カワイイ建築"の根底には他と被ってはいけない、といったネガティヴがありました。ただ-を0に、ひとつずつしていくことではこんなにまとまりのある建築にはならないと思うのでそこは藤森さんのなせる技なのでしょう。学生時代からネガティヴが行動原理となっていたことから、自分の能力以上のことはせず、手の届く範囲で100%満足のいく出来の(続)2023/05/20
tsumizeKa
0
建築史家の藤森さんの対談形式の本。建築史の教授なのに全然堅苦しくなく、路上観察会など魅力的な活動もしている。伊東さんとの対談で、「知らない世界からふっと降りてきた~」と言っているのが印象的。建築は軽く、薄く抽象的なものを目指している傾向にあるが、藤森さんは素材的にリアルで土着的なのに少しメルヘンで、他とは違う方向性で抽象を目指している。今、空飛ぶ泥船が名古屋市美術館で展示されているので見に行こう。2013/10/11
Shun Fukuyama
0
デビュー作の守矢資料館から、2010年までの作品群の写真紹介と、藤森氏へのインタビューがメインとなる本。一つ一つの作品についての解説は、紹介数が多い分やや薄く感じるが、藤森氏の哲学や作品の歩みをコンパクトにまとめており、入門編としては最適だと思う。2013/01/26