出版社内容情報
空爆から逃れた女の子・カーリンヒェン、彼女を本当に救うものは・・・
カーリンヒェンがすむ町に、ある日”火”が降ってきました。
火から逃れたカーリンヒェンは、いろんな人に出会い、助けを求めますが、誰も受け入れてくれません。「わかってもらえない」悲しみでいっぱいだったカーリンヒェンは、最後にあることに気づきます。
『人を本当に救うものは何?』
ボランティア・支援の本質を鋭く問い考えさせる本。
内容説明
もしも火が落ちてこなかったら、カーリンヒェンは難民にならなくてすんだ。でも、火は落ちてしまった。カーリンヒェンは、いろんな人に助けを求めた。でも、受け入れてもらえなかった―。アフガニスタンの少数民族出身で、難民となり、日本へ逃れた著者による絵本。
著者等紹介
フックスフーバー,アンネゲルト[フックスフーバー,アンネゲルト][Fuchshuber,Annegert]
1940年ドイツ生まれ
池田香代子[イケダカヨコ]
1948年東京生まれ。ドイツ文学者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
18
グリム童話のような絵本で、絵がとても印象的なのですが、難民として行き場を探した作者本人の思いが痛烈に、シニカルに描かれています。 カーリンヒェンを受け入れないのは、民族としてでしょうか? それとも思想としてでしょうか? それに貧困の階層に縛られた人たち、社会構造に固定化されている人たち、行き場を探すカーリンヒェンからはこのように見えるのですね。 文字のないページも含め、カーリンヒェンの心の叫びが突き刺さってきました。2018/02/11
sui
18
「難民」について描かれた絵本。戦火で焼け出され、異なる文化、習慣、食生活を理由に拒絶されるカーリンヒェン。豊かな国からも貧しい人たちからも拒絶されるカーリンヒェン。行く宛もない不安や恐怖が伝わってくる。最後にカーリンヒェンを受け入れてくれた人とは?・・・子供に「なんみんってなぁに?」と聞かれたら、これがいい答えになるかも知れない。2016/08/07
ごへいもち
17
メッセージがあまり伝わらない気がする2018/02/23
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
11
見返しのアリー・ジャンの紹介や、あとがきを読まないと難民問題とは思いつかないかな?けれど、そこをしっかり読んでから読み返すと、とても強いメッセージが伝わってくる。帰る場所がない辛さ、落ち着ける場所を探す辛さ、それを理解してくれない人々…こんなにも弱者に冷たい世の中なのが余計に辛いです。2019/06/23
水無月
7
家をなくしたカーリンヒェン。小さなパンと住む場所を探して、色々な人や生き物に会うけれど、誰にも受け入れてもらえない。石食い族やしっぽ鳥等、ファンタジーな世界を絡めながら、著者の体験を模した物語。テーマは「難民」だが、人が他者や異物と感じたものを受け入れない世界に、現代社会の排他的な思想が垣間見える。カーリンヒェンに出会った時、果たしてどれくらいの人が「やさしい おばかさん」でいられるだろうか…。2019/11/01
-
- 和書
- 素顔の魯迅