内容説明
記紀と邪馬台国分析。大倭の高天原系古代王朝は神武系王朝によって滅ぼされたことは『古事記』では抹殺されたが、『日本書紀』はそれを半分復活させた。しかし、この高天原系皇孫朝の一族は、擬態の姿で神武朝に加担する構成なっている。そこには倭の大乱と邪馬台国の奮戦が語られている、と著者は分析する。この隠された真実は「古語拾遺」からわずかながら読みとることができ、また天武天皇によって政治的意図のもとに編纂された「書紀」こそ徹底的な政治的分析が必要であるなど、注目すべき幾つかの問題点を提起する。
目次
第1編 『古語拾遺』の伝承体系
第2編 忌部伝承の奇手
第3編 国造広嶋と『出雲国風土記』
第4編 生駒越え異伝
第5編 逃げた神鏡
第6編 八咫烏神話の発展
第7編 兄磯城とイワレヒコ
第8編 金鵄の本体
第9編 『書紀』の神功皇后=卑弥呼説
第10編 女王国の官名
第11編 武埴安彦の乱
第12編 毛野国は直轄地か
第13編 三輪伝承と説話
第14編 鳥越憲三郎『吉備の古代王国』を読む