内容説明
陶芸家、画家、ワイン生産者、竹細工作家…。土をめぐる15人との対話、38の断章。
著者等紹介
松嶋圭[マツシマケイ]
1974年長崎県壱岐市生まれ。精神科医。2016年『Conversations with Shadows』にて、第3回プラダ・フェルトリネッリ賞(プラダ主催・国際文学賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はとばゆうき
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面白かった。この小説そのものが、泥だんごのように土をこねてはかたちにするものを作る制作過程そのものだと思う。緩急のあるストーリーやドラマがないのは、制作することそのものがそういったドラマチックなこととは無縁であり、ただ目の前にある実質を掴みとることであるからだと読み取った。断章形式で小説が作られていることにも注目したい。大地から土をもらい制作へ至るように、小説は言葉の地層から手で掬い取ることができるぶんだけ書かれている。アンチクライマックスな最後は制作に終わりはないように、ただ手をとめる、筆を置くようだ。