内容説明
都で華やかな生活を送っていた右大臣・菅原道真は、左大臣・藤原時平たちの陰謀で大宰府に流されてしまいました。父と別れがたい紅姫と隈麿は大宰府までいっしょに行くことに。ところが、やっとの思いでたどり着いた南の館は、廃屋のように荒んでいました。不自由な暮らしの中でも肩を寄せ合い、日々を送っていた三人でしたが、隈麿が病気になって死んでしまいます。続いて道真も亡くなり、紅姫はただ一人残されてしまいました。紅姫は父から預けられた手紙を持って、土佐にいる兄のもとへ旅立ちますが…。道真の娘・紅姫の視点から語られる、古都・大宰府と道真親子の物語。
著者等紹介
前野りりえ[マエノリリエ]
フリーライター・日本語教師。2014年『ニューカレドニア 美しきラグーンと優しき人々』(書肆侃侃房)上梓。2015年『麗し太宰府』(書肆侃侃房)上梓。2018年第48回(平成29年度)福岡市文学賞詩部門受賞。詩誌『GAGA』代表
竹崎陽子[タケザキヨウコ]
画家。1983年に講談社新人漫画賞佳作にてデビュー。福岡で広告イラストなどの仕事を経て現在に至る。独自の世界感を独学でのドライポイント銅版画、アクリル画など様々な手法で制作発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒラP@ehon.gohon
21
大宰府に追われた菅原道真について、娘の紅姫の立場から描いた物語です。 母親と別れ、父と弟の苦しい生活が描かれていました。 絵が清らかで美しいだけに、悲劇がとても切なく感じられました。 全く知らない話ではあっったのですが、この物語を制作した、太宰府天満宮の強い思いが感じられました。2022/03/14
ほんわか・かめ
11
大宰府に流された道真とその子である紅姫と隈麿。大宰府での暮らしを紅姫からの視点で描いている。南の館とは聞こえは良いが、実際はあばら家で暮らしも楽ではない。文章博士でもあった道真の教えのもと、勉強に励んだり暮らしの中から小さな喜びを見つけたり。しかし弟の隈麿が亡くなり、次いで都に残してきた母親、遂に父親までも亡くすことになる。土佐に流されていた兄を頼って向かおうとした時に追っ手に襲われ…。水城の土塁、都府楼、天拝山。聞き馴染みのある地名が出てきて物語が身近に感じられる。紅姫が白狐になった伝説は知らなかった。2025/03/01