内容説明
空前絶後の戦績を誇り、45年の長期にわたってトップの座に君臨しながら、なぜか地味な印象につきまとわれた棋界の巨人。「棋士の思考は指し手に宿る」と信じる著者が、不世出の名人に肉迫し、その人間性の精髄を説き明かした雄渾の書き下し400枚。
目次
1章 ガンとの闘い
2章 生い立ちから名人まで
3章 大山将棋の強さ
4章 早逝した天才棋士との闘い
5章 追われる身に耐えて
6章 会長就任と永世名人
7章 ガン再発後の粘り
終章 まだ引退できないのか
著者等紹介
河口俊彦[カワグチトシヒコ]
1936年(昭和11年)、神奈川県横須賀市生まれ。小堀清一九段門下。昭和26年6月に六級で入会。18歳で初段、21歳で三段と順調に昇級したが、三段で八年を費やす。現在七段。棋士として将棋を指す傍ら、若い時から文学に傾倒し早くから将棋に関する文章を書いてきた。現在、専門誌の「対局日誌」はじめ、広く一般誌にも執筆の場を拡げている。「棋士の思考は指し手に宿る」という信念に基づき、将棋と人間分析を結びつけた独自の文章は多くのファンをもつ。現在「週刊現代」に「盤上の人生」を連載中
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感想・レビュー
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Gakio
2
大山十五世の存在感はもちろんだが、その前の大名人木村義雄の威厳とか、同世代の山田道美とか。山田はエッセイを数多く残してるがそれが引用されていて、感傷的で文学が好きそうな感じでよい。 坂口安吾などが観戦記で関わる。 村社会ではあるが、世俗からかけ離れた昭和っぽい雰囲気が良い。 河口俊彦という棋士の書く文章は、独特の味があってだんだんはまってくるけれど、こういう本を読んでると今まで当たり前に読んできた作家たちの文章が抜群に優れていることに気づく。2023/04/06
tatakuma
2
著者の想像の部分が多いのでどの程度信憑性があるのか分からない部分があったり、言っていることが一貫性を欠いているような所があったりして、今一大山康晴についてはどんな人間であり将棋指しだったのかピンときませんでしたが、当時の将棋界の雰囲気みたいなものは感じられました。2019/04/12
さとうはな
2
盤外戦術が飛びぬけていたと聞くが、「催眠術」疑惑まであったとは。 本書の中で何度となく繰り返される「嫌われていた」「棋士にもファンにも人気がなかった」いやー、なんてハッキリと^^; 木村、大山、中原・・・と、確かに、圧倒的な強さを誇っていながら、人柄のわかるチャーミングなエピソードを読んだことがない。 「奇人変人列伝」のような面白さが魅力で、棋界が好きなんだなぁ、たぶん私。2018/02/16
てらさか
1
升田派なのですが、これを読むと悪役扱いでもがんばってた大山名人もすごいなあと改めて思いました。2018/12/23
TakMo
0
今年になって早々に谷川九段A級陥落のニュースを聞いて時代が変わったななどど思っていた折に図書館で本書を目にしました。「山田定石」にその名を残す山田道美棋士との対局や63歳で名人挑戦を決めた対局等々の棋譜を引きながら、69歳で癌で亡くなるまで順位戦のA級を維持した正に不世出の天才棋士の生涯をたどります。本の中でふれられた棋譜を探して並べてみたくなりました。2014/02/17