目次
1 苦しむ痛む困る向き合う気がつく(当事者がつづる記憶や記録による生活史や人生史;家族がつづる記憶や記録による生活史や人生史;スタッフがつづる記憶や記録による生活史や人生史)
2 「リカバリハウスいちご」の誕生(「リカバリハウスいちご」の生誕まで;地域生活からのニーズ;ニーズを実現するアルコール作業所の開所)
3 「リカバリハウスいちご」とは(当事者との協働的な実践;リカバリハウスで活動する8つの部門;共同生活を援助する「グループホーム」;メンバーによる印象や感想―アンケートより;メンバーとスタッフからのひとこと)
4 地域生活を支援する取り組み(リカバリーをめざす地域での生活支援の方法;生活と就労でかかえる課題とは―当事者のインタビューより)
5 医療や自助グループと地域や行政との協働的な実践(アルコール専門病院での治療;アルコール医療での精神科の役割;内科の疾病や依存症を患う人の治療や生活;保健所での酒害教室に取り組む;自助グループとの連携や協力;地域で「リカバリハウスいちご」と共に歩む;運営委員からのメッセージ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
弥太郎岩崎。
1
前半の手記部分とざっと読みだけ。素面で居てさえ生きづらい教育と労働の狭間に落ちることの悲惨さに自分の経験も重なる。昭和時代は今より更に差別も地方と都市の差も険しい。酒害の恐ろしさがよく分かるし、酒以外でも依存は本当に怖いと思う。誰も入院で精神衛生が良くならないし、抜け出せない。一旦壊れた臓器は戻らない。後半は大阪のアルコール医療と断酒会の経緯が細かく記述されていて、国内の依存症の問題、精神医療、地域型の精神保健福祉を研究していくなら間違いなく重要な文献。横浜トリエンナーレに出展が出来た西成の「ココルーム」2017/07/10
Seiko Sugiyama
0
アルコール依存症という病について、またその支援のあり方について、とてもわかりやすくまとめられている。世間一般の依存症に対する認識は、意思が弱い、怠け者といったようにパーソナリティの問題になっていると思う。あくまでもそれはイメージ、なんとなく、といった曖昧な理解に過ぎないだろう。この本には当事者の生活史も多く載せられていて、どうしてこの病に至ったのかを少しでも理解できるようになっていると思う。「リカバリハウスいちご」の支援も素晴らしく、ぜひ見学させてもらいたいなと思うのと、こんな支援ができたらなとも思う。2020/04/12
WICCA
0
アルコール等の依存症を抱えた人びとを支援する「リカバリハウスいちご」に関わる利用者、家族、スタッフの体験談と、支援の実践についてまとめられた本。一冊なのにとても読み応えがあった。 利用者と支援者の関係がフラットなところは、他の分野で支援を行なっている実践者にも参考になりそうです。2018/04/17