内容説明
中原多恵(33歳・既婚)“普通”でありたいために、夫でなくてもかまわず、ネットで見つけた好条件の男から精子を購入。守山みつき(33歳・独身)多恵の大学時代の同級生、雑誌編集者。理想を追い求めるマチアプのヘビーユーザー。安西桃(20歳・独身)推しが全てで、推し活のためにいい加減な性交渉も厭わない。ネイリスト見習い。田崎侑美(40歳・既婚)桃の叔母。夫を愛しているがゆえに夫の分身がほしいと妊活中。恋愛、結婚、出産について動機も熱量も異なる女性4人のドラマ。欲望と葛藤の先、思いもよらない衝撃のラストへ―
著者等紹介
山下紘加[ヤマシタヒロカ]
1994年生まれ。2015年「ドール」で文藝賞を受賞しデビュー。22年「あくてえ」で第一六七回芥川賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
80
間違った世界。婚活アプリ・妊活アプリ・推し活アプリ、アプリを制作した連中が儲かるだけの無責任な世界。深く考えることもなく当たり前に利用されているのか。東大卒・170センチ以上・高収入・イケメンという情報は全てが登録者による嘘。嘘つきから提供された精子で欲しくてたまらなかった宝物が。推し活のために体を売り、親に嘘をつき、唯一の理解者の叔母をも裏切り、酷いことをしたその足でSNSにアップされている人気店でスイーツを食べる若い女。全部、みんな間違っている。同じ世界の人間とは思えないと思わせるほどよくできてるが。2025/12/03
ポロン
40
決して長編でもない本書の中に恋愛、結婚、出産に対する動機も熱量も異なる女性四人の欲望と葛藤が描かれている。どれも共感できるものでもないが、想像はできる。ないものねだりで、欲望に対して貪欲であることは凡夫が故の所業ではあるが、そのツケが、将来的に回り回ってくることの想像力が、どうして持てないのかが理解に苦しむ。刹那的な衝動によって、身を任せることが危険を呼び込むことを前提として、用心して生きてきた身からすれば、あまりに短絡的で苛ついた。大切な人を守るために、しっかりと対峙して人生を渡っていってほしいと感じた2026/04/30
桜もち 太郎
26
う~ん、感想を書くのに困る。女性が読むのと男性が読むのとでは感じ方がかなり違うような気がする。4人の女性の物語。夫がいながら精子提供アプリを使いシリンジ法で妊娠を求める多恵。その友人のマッチングアプリのヘビーユーザーのみつき。押し一筋で性に対して病的なほどいい加減な20歳の桃。そして妊活中のその叔母である侑美。まともなのはみつきと侑美かな。あとの二人は男から見て理解不能だ。でもなんかリアルなんだよね。こんなえげつない物語を書く作家だったっけ。でも内面をグリグリ抉るような物語は嫌いではないんだよね。2025/12/01
いちろく
19
夫以外の好条件の男の精子を購入してシリンジ注入している女性、理想を追い求めマチアプに走っている女性、推し活の為に身体も売っている女性、夫の分身としての存在がほしいと妊活している女性による連作短編と書こうか? 実際にこんな女性がどこかに居そう、という切り抜きの印象もあり、登場人物の状況に近い人や身近にそんな人がいるほどより共感出来る内容にも思えた。このU-NEXTのシリーズは色々な純文学作家の中編が手軽に読めるのが利点なのだが、読み続けているとこんな物語にも出会う時もあるよね、と感じたのが本音。救いがない。2026/01/29
練りようかん
16
レーベルきっかけ。学生時代の友人と叔母・姪の四人二組が、妊活や婚活そして推し活を通して本当に欲しているものを掘り下げる内容。子どもを持つか持たないか、選べると思っていたのに違う現実に直面し、マッチングアプリで相手を選び続けることに埋もれ、性行為についても何でこんなことになっちゃったんだろと思う彼女たちの頭の中はごちゃごちゃで、“どれも本心ではない気がする”という一言が象徴的だった。前半はごまかしと見栄が苦しいなと思っていたが、後半は止められないやばい未来にハラハラ。ほしいのは、肯定。沼が深いと思った。2026/05/15




