内容説明
昭和30年。東京の養育院で暮らす16歳の小百合は呆然とした。自身が元華族・雪宮家から誘拐された令嬢だと告げられたのだ。当主で双子の姉でもある撫子の暮らす御殿場に身を寄せた小百合。孤児から令嬢へと一変した生活に戸惑いつつも、撫子との距離をゆっくり縮めていく。そんな雪宮家には時折思わぬ客が訪れる。その理由は代々の当主が蒐集してきたいわくつきの美術品にあるようで…?
著者等紹介
白川紺子[シラカワコウコ]
三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌cobalt短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞(現ノベル大賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひさか
29
2025年8月千夜文庫刊。書き下ろし。子爵夫人の再婚、鳥啼き魚の目は泪、秘密の花園、の章で構成。昭和30年という設定に、16歳の撫子と小百合、執事の橘、闇市から成り上がった戸田等の登場人物が面白い。当主という立場に立った撫子の事件解決に至る振る舞いが凛として痛快。回を重ねるごとに小百合との連携がしっかりしていくところが楽しい。2025/09/30
はなりん
20
戦後の日本、昭和30年。この時代のお話はあまり読んでなかった。赤子の頃攫われ養育院で暮らす小百合が、実は旧華族雪宮家のご令嬢で双子の姉撫子が当主であることがわかり、一緒に暮らす事に。屋敷の離れにいわくつきの美術品などを収蔵した美術館があり、そのコレクションを巡る客人達との交流や事件を双子姉妹で解決していく。生粋のお嬢様だけど当主として凛とした姉と、孤児として育ち行動力のある妹の初めましてから、徐々に家族としてゆっくり距離を縮めて行く様子が良き。姉妹と暖かく見守る使用人達が素敵。2025/10/04
豆乳くま
14
白川さんの新シリーズ。いつもとちょっと違う雰囲気だけどいつも通り。安定感の可愛らしさ。2025/09/09
you
12
白川先生の新シリーズ(なのか…?)。上流階級で育った姉と行方不明だった双子の妹の話。よくある設定、と思いつつも、面白く読めました。屋敷の皆さんがいい人たちで、事件とまではいかない美術品にまつわる何かがあって、撫子のヤキモチもあったりで、最近読んでる白川さんのファンタジーとはちょっと違ってまたよかったです。戦後の混乱と復興した街とがいい感じにマッチした作品でした。2025/09/17
momoyama
9
素敵なお屋敷に住む個性が違う双子の令嬢、かっこいい執事、いわくつきの美術品なんて、好きな要素詰まりすぎ。ただ16歳の撫子が大人の事情に巻き込まれてかわいそう。大人!守ってあげて!小百合の食べっぷりもかわいい。撫子の照れて髪の毛くるくるも。最後の二つの指輪は泣きました。2025/09/22
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