感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
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卑小なる暴君の孤独と悲哀。独裁者と言うにはスケールが小さく、あまりにも人間的に脆弱な一人の地主が、生々しい感情の発露と悔悟の言葉によって半生を綴る。自らの暴力性や劣等感に抗えず、次第次第に周囲から孤絶し、最後には心が乾ききってしまう様が、一人称ながらも写実的に描かれている。ドラマチックとはかけ離れた地味な生涯だからこそ、当時の”小さい権力者”が送った呪いのような一生にはとても現実味があった。最後数ページの独白にも、読者には滲み出るような苦悩が見えるが、自身は心が死んでしまっているようでそれもまた切ない。2026/04/05




