出版社内容情報
前作から6年ーー衝撃と感動の「最後の医者」シリーズ最新刊!待望の書き下ろし長編!!
内容説明
「これがあなたが誰かと話せる、最後の機会になる可能性があります」クリスマス。結婚3年目を迎える女性が最愛の伴侶を喪った。懸命にその治療へ挑んだ担当医・福原雅和は手術ができなくなり、行方を眩ます。彼を探す友人の桐子修司は、今までに関係した遺族たちと対話を重ねるが…大切な人に先立たれた後、残された人々はいかに生きていくのか?消えない死別の悲しみの向こうへ―今を生きる人々の希望を描く、大人気シリーズ最新刊!
著者等紹介
二宮敦人[ニノミヤアツト]
1985年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。代表作『最後の医者は桜を見上げて君を想う』等、フィクションとノンフィクションの垣根を越えて活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
127
『最後の医者…』シリーズ既刊未読の私も今作だけで完全没入できた。テーマは「死別…そしてそこからの次―」。感情生物であるヒトゆえに、愛する存在の喪失は、計り知れない影響を遺された人のその後に与えてしまう。医師主役モノでありながらも、それを医師以外の他者らを視点人物として描き上げた今作の多面性は、特筆すべき一つの特徴と言えよう。その象徴が、ちゃらんぽらんな生き方をしてきた尋の生き直しへの共感と感動。愛するがゆえに他者への共感的受容が生まれる真実を、実に丁寧に紡ぎあげていく。今作までの物語も是非読んでおきたい。2025/03/05
えんちゃん
57
待望のシリーズ③ とてもよかったです。今作のテーマはグリーフケア。最愛の夫を失った女性と、女性を好きになってしまった男性。病人を救えなかった医師・福原と、福原を救いたい医師・桐子。みんなの苦しい胸のうちを、丁寧に寄り添いなぞってゆく群像劇。喪うことでこんなに悲しむくらいなら、大切なひとなんていない方がよっぽど生きやすい。だけど、やっぱり大切なひとがいる人生の方がいいと思うのです。悲しみを抱えながら生きる人たちの姿がリアルでした。2025/08/17
あみやけ
47
シリーズ3作目。文句なしの★5+。テーマは重いのに、とっても明るい読了感。やっぱり命なんだけど、福原さんもドクター桐子も本当の意味で医者になった感じです。そして、音山さん。藍香さんと尋くん、そして浩平くんの関係はありえないと思う人もいるかもしれませんが、僕には藍香さんはとってもステキだと思います。第二章のラストのセリフ、切なすぎ。自分も改めて、命について考えました。昨日、55歳になりましたが、昨日までの僕があり、今日の僕がいて、明日の一人ではない僕の未来がある。おすすめですが、読むなら一作目からで。2025/08/24
akiᵕ̈
29
この作品にまた出会えるとは!あれから6年。朝は元気に出て行ったのに病院からの電話で夫の不測の事態を知らされる『とある伴侶の死』で始まる今作。死というものがもたらす恐怖、苦しみが、その当事者側(患者と家族)と治療に当たる側(医師)の視点から克明に描かれていて、身近な人の死が及ぼす影響を体感する。過去に縛られて前に進めないで、もがいている中でも必ず側に寄り添ってくれる人がいる。葛藤していく中で少しずつ希望が見え、折り合いがつけれていく。だって生きているんだから!今を受け入れる事が出来た時、生への強さは大きい。2024/12/09
朗読者
26
最後の医者シリーズの4冊目が出ていると知り、早速手に取りました。初めに亡くなられた方の話は壮絶で、理不尽な病魔には恐怖を覚えました。人間誰しもこのような突然の病魔に襲われることはあり得る話で、別の病気で入院中に発見されたにも拘らず対処不能だなんてと思いました。エピローグに向かっていく流れはとても感動的で胸が熱くなりました。めぞん一刻を思い出しました。2025/03/21