文学は割に合う!

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  • サイズ 46判/ページ数 248p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784867931264
  • NDC分類 904
  • Cコード C0098

出版社内容情報

世界にはびこる文系不要論に抗し、人間的な豊かさをはぐくむための文学の有用性を説くのみならず、その市場価値にまであえて踏み込み、「長期的投資」「遅れてくる利子」としての意義を強調する。フランス文学界の碩学による、抒情的な思索とアイロニカルな語り口に満ちた唯一無二の書。

本を読み、考えるという営みの肯定。





 さてその夜、ジュリアン・ソレルの冒険に大興奮してしまったので、なかなか寝つけませんでした。(…)母が階下にいて、ダイニングの椅子に座っていました。(…)「寝ないの?」「本を読んでて眠れないんだ」――こんなとりとめない言葉を母と交わしました。そのときようやくわたしは理解したのです――母は死ぬのだと。(…)その夜、文学と生とが、恋と権力とが、そして二階で読む小説のなかにあらわれる野心と一階の母につきまとう苦しみと死とが、対立すると同時にたがいに浸透し、受け入れあっていました。文学が人生すべてだというつもりはありませんが、『赤と黒』がもたらした高揚感がなければ、この小説から得た人生への洞察がなければ、亡くなるまでの三ヶ月間、平常心と鋭敏さを失わずに母のそばに寄り添い続けることはできなかったでしょう。(本書より)





 文学・哲学だけでなく、美術、映画、画面上のたくさんのコンテンツも含めた教養は、仕事における目先の作業から距離をとり、自らを客観視し、外部と内部とに同時に存在しながら自らを見つめ、人生を変えるための手助けをしてくれます。もともとのキャリアを超え出るため、方向を変えるため、関連分野へと分化していくため、新しいチャンスをとらえるためには、教養が不可欠なのです。一般教養がもたらすものとは、洞察力とか直感力という別種の知性です。これは優れた犬や狐にみられる勘に近いものなのです。鋭い勘は生まれつきではなく、読書によって養われるものであり、読書は他の経験への入り口となります。読書は勘を養ってくれるのです。困難を切り抜け、立て直すのにこれほど必要なものはないのです。(本書より)





 訳者として、本書が日本の読者、とりわけ「文学を学ぶ意味はあるのか?」と自問自答する者に、本を読み、考えるという一連の営みを肯定する一助となることを切に願う。文学は、つねに挑まれ傷つき衰えていくものの歴史ではあるが、決して過去の遺物ではない。その歴史を更新し続けることは、現在進行形のものとして文学の生を証しだてすることになる。(「訳者あとがき」より)





【内容目次】

第1章 詩こそはもっとも見返りの多い芸術のひとつ

第2章 教養と美容

第3章 通りを渡る

第4章 文学の欲求

第5章 「本当の人生、それは文学である」

第6章 オルニカールはどこ


【目次】

第1章 詩こそはもっとも見返りの多い芸術のひとつ

第2章 教養と美容

第3章 通りを渡る

第4章 文学の欲求

第5章 「本当の人生、それは文学である」

第6章 オルニカールはどこ?

第7章 高等教育ビジネス

第8章 「ピアノを習いなさい、キーボードを叩く練習になるから!」

第9章 忙しいひとびとはまちがっている

第10章 気配りと卓越性(ディスタンクシオン)

第11章 ひとには自分の価値に値する価値があるのか?

第12章 階級に復讐する

第13章 野心とは、有象無象の悪徳ではない

第14章 すべてのひとのための文学

第15章 リホボス・ビーチ

第16章 魔法の直方体

第17章 耳も読む

第18章 読むことは健康のためになる

第19章 自分の人生の作者になるということ

第20章 文学はどこにでも

第21章 詩人たちの恩恵

第22章 マタイ効果

第23章 文学と統計学

第24章 失われた機会

第25章 落ち着いて、またいつでも会えるから!

 原註

 訳者あとがき

内容説明

世界にはびこる文系不要論に抗し、人間的な豊かさをはぐくむための文学の有用性を説くのみならず、その市場価値にまであえて踏み込み、「長期的投資」「遅れてくる利子」としての意義を強調する。フランス文学界の碩学による、抒情的な思索とアイロニカルな語り口に満ちた唯一無二の書。本を読み、考えるという営みの肯定。

目次

詩こそはもっとも見返りの多い芸術のひとつ
教養と美容
通りを渡る
文学の欲求
「本当の人生、それは文学である」
オルニカールはどこ?
高等教育ビジネス
「ピアノを習いなさい、キーボードを叩く練習になるから!」
忙しいひとびとはまちがっている
気配りと卓越性
ひとには自分の価値に値する価値があるのか?
階級に復讐する
野心とは、有象無象の悪徳ではない
すべてのひとのための文学
リホボス・ビーチ
魔法の直方体
耳も読む
読むことは健康のためになる
自分の人生の作者になるということ
文学はどこにでも
詩人たちの恩恵
マタイ効果
文学と統計学
失われた機械
落ち着いて、またいつでも会えるから!

著者等紹介

コンパニョン,アントワーヌ[コンパニョン,アントワーヌ] [Compagnon,Antoine]
1950年、ベルギー、ブリュッセル生まれ。理工科大学校、国立土木学校という理系のエリート校を卒業したが、その後、25歳で文学研究に転じた。パリ・ソルボンヌ大学教授を経て、2006年よりコレージュ・ド・フランス教授。コロンビア大学教授を兼任。2022年に、アカデミー・フランセーズの会員に選出される。プルースト、モンテーニュ、ボードレール、文学史、文学理論に関する著書が多数ある

本田貴久[ホンダタカヒサ]
1975年生まれ。中央大学経済学部准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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eckhart88

0
良い本だった。著者はアカデミー・フランセーズ会員というと身構える人もいるかもしれないが、現代フランスにおいては稀有なバランス感覚をもった元理系(かの国立土木学校から文転した)の人文学者。一般向けのモンテーニュやパスカルのラジオ番組(寝る前5分のモンテーニュ・パスカル)の台本を書いた人であるが、それと同じような優雅で穏やかで、長すぎない文章の連なりがぐいぐいと読ませる。色々な挿話や用語やデータが出てくるが、それらを取り去れば著者の文学に対する信念と信仰が剥き出しになって読む者を勇気づけてくれる。2026/04/22

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