出版社内容情報
安定した経済成長、高所得国入り目前。
いったい何が、それを可能にしたのか?
特別な好条件に恵まれていないこの「普通の国」は、年率5%程度の成長を続け、さらに近年、グローバルサウス、東南アジアの中核国として急速に存在感を高めている。本書で紹介される、成長戦略、経済政策、政治の詳細な分析は、「失われた30年」の日本にも示唆を与える。
マレーシアは「中所得国の罠」に陥った国に分類されることも多く、二桁の経済成長率を連発するような経済成長の「エリート国」ではないにもかかわらず、じわじわと経済成長を続け、ついには高所得国入り目前までたどり着いた不思議な国であるといえる。マレーシアはこのままいけば、日本・韓国・台湾といった「エリート国」やシンガポールや香港などの「都市国家」を除けば、欧州以外の国で工業化を通じて高所得国入りを果たすはじめての国になる可能性が高い。(本書序章より)
「中所得の罠」とは?
中進国となった国々が、賃金の安さでは後発国に勝てず、技術開発力では先進国に及ばないため経済成長が停滞し、長期間にわたって先進国入りできないという状況を指し、2010年代に入って精力的に原因の解明が進められてる。
内容説明
特別な好条件に恵まれていないこの「普通の国」は、年率5%程度の成長を続け、さらに近年、グローバルサウス、東南アジアの中核国として急速に存在感を高めている。本書で紹介される、成長戦略、経済政策、政治の詳細な分析は、「失われた30年」の日本にも示唆を与える。
目次
序章 「中所得国の罠」の理論とマレーシア
第1章 低所得期の課題とその克服―新経済政策の効果(1960年代から1980年代)
第2章 労働力の量的・質的拡充―都市化・格差・教育(1970年代から1990年代)
第3章 経済発展の担い手―地場民間企業・外資系企業・政府系企業(1980年代から2000年代)
第4章 産業高度化の実態と課題―生産性主導型経済成長への苦闘(1990年代から2010年代)
第5章 外需から内需へ―民間消費が経済を牽引(2000年代から2010年代)
終章 「中所得国の罠」脱出のヒントと課題
著者等紹介
熊谷聡[クマガイサトル]
1971年生まれ。1996年慶應義塾大学政策メディア研究科修士課程修了、2004年ロンドン大学政治経済学院(LSE)経済学部修士課程(MSc)修了。現在、アジア経済研究所開発研究センター経済地理研究グループ長。専門は、国際経済学(貿易)およびマレーシア経済
中村正志[ナカムラマサシ]
1968年生まれ。1992年、東京外国語大学外国語学部インドネシア・マレーシア語学科卒業。2014年、東京大学大学院法学政治学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。現在、アジア経済研究所地域研究センター主任調査研究員。専門は比較政治学、マレーシア現代政治研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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