出版社内容情報
彗星のごとく世紀をまたいで現れた、抽象画のパイオニア、ヒルマ・アフ・クリント。躍動する色彩と神秘的な体系をそなえた絵画群は女性たちによるスピリチュアルな世界との交信から誕生した。その仕事と人生の場所をたんねんに訪ね、多くの作品と対話を続けてきた第一人者による書下し!
ヒルマ・アフ・クリントは、1862年ストックホルムで生まれ、1944年千点以上の作品を残して逝去したスウェーデンの女性画家。没後長い時間を経て、今世紀に入りようやく発見され、その全貌はまだ解明途上にある。ニューヨーク・グッゲンハイム美術館での展示が空前の成功を収め、世界の美術館が相次いで展覧会を開催。日本では2025年3月4日より、東京国立近代美術館でアジア初の大規模な回顧展が開催される。1906年から1915年まで約10年をかけて制作された代表作「神殿のための絵画」シリーズをはじめ、霊的な知をメッセージとして受け取り画筆に託して描いたそれらの絵は、カンディンスキーやモンドリアンに先駆する抽象画のパイオニアとして驚きを持って迎えられた。また、その作品は、明るい色彩感、コンテンポラリーアートと見まごう今描かれたかのような現代性を備えており、創作方法の神秘性とも相俟って、むしろ未来からやって来た画家として、これから大きな注目を浴びるであろう画家である。
重要なことは「霊的な知」が[…]女性たちのグループによる実践だったことである。それはいたわり支え合うという意味での配慮の共同体である。[…]女性たちによるケアの共同体がなければ、これらの作品の成立はなかったであろう。この点で彼女たちのささやかな活動は、「霊的な知」の、別の可能性を示していると言えるように思う。[…]その作品がコンテンポラリーアートとして輝くのと同じように、彼女たちの実践もまた、今日のグローバルな地平において、より強く響くのではないかと思う。(本文より)
内容説明
彗星のごとく世紀をまたいで現れた、抽象画のパイオニア。躍動する色彩と神秘的な体系をそなえた絵画群は女性たちによるスピリチュアルな世界との交信から誕生した。その仕事と人生の場所をたんねんに訪ね、多くの作品と対話を続けてきた第一人者による書下し!ヒルマ・アフ・クリントとは誰か。
目次
第一部(彗星現る;カオスから神殿へ;神秘主義の色彩)
第二部(カタツムリ・コレクティブ;聖なる振動;七芒星と復活の百合;知識の樹;薔薇のコミューン;光のエクスシー)
第三部(聖杯とマルチヴァース;創造のスパイラル;out on a limb)
アフ・クリント、ふたたび
著者等紹介
港千尋[ミナトチヒロ]
1960年神奈川県生まれ。写真家。多摩美術大学情報デザイン学科教授。アートとデザインの人類学研究所所長。第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2016芸術監督、台湾3線芸術祭2023など、国際展でキュレーションを行う。『風景論』で2019年度日本写真協会賞受賞。『記憶―「創造」と「想起」の力』(講談社、1996、サントリー学芸賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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