内容説明
抑圧的な状況下においても、人は自らの意志を貫くことができるのか?「巨大なリアリズム」としての総力戦(戦争)において、詩人、批評家、雑誌編集者の春山行夫は、従来の文学が無効になりつつある状況に直面しつつ、敵か味方という基準ではなく、あくまでもモダニズム的合理主義によって戦争=現実に対峙しようとした。戦時下、非合理的な言説を拒絶し物量こそが勝敗を決することを主張することで生きるためのモダニズムを貫いた春山行夫の軌跡をたどる。
目次
はじめに その墓の新しさ―モダニズムを見送る春山行夫
第一章 文学のモダニズムとモダニズムの文学
第二章 外地と内地のモダニズム
第三章 距離の観点と量的観念
第四章 文学から遠く離れて―満洲を読むこと
第五章 宣伝・編集・モダニズム
第六章 モダニズムとプロパガンダ―春山行夫の戦争
おわりに あるモダニストの戦時下の肖像
あとがき 生きるためのモダニズム
著者等紹介
脇田裕正[ワキタヒロマサ]
立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(東京大学、学術)。専攻は比較文学。慶應義塾大学法学部、中央大学商学部・法学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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