内容説明
父親と二人だけの自由奔放な生活に割り込んできた母親代わりの女性を狡知な計画手段で死に追い遣る17歳の女性の物語は、複雑に揺れ動く途轍もない小説だった!刊行から70年経った今でも読み継がれるテクストを精読して、「悲しみよこんにちは」というタイトルの“ちぐはぐさ”の謎に迫る。
目次
1 不在の母親―物語の不可視な中心
2 「大きな子ども」、そして「何よりも可愛く、素晴らしい玩具」
3 「家族の知性」―「教育」に関する対立姿勢
4 セシルとアンヌの対立―その根底深くにあるもの
5 もう一人の「私」―「二重性」の発見
6 反抗と同調の論理―アンヌの平手打ち
7 反抗と妥協の論理―セシルの喫煙
8 小説内演劇?―二重性溢れる演出
9 演技と本気―お芝居と現実の狭間で
10 「悲しみ」とは何か?
著者等紹介
土田知則[ツチダトモノリ]
1956年、長野県に生まれる。1987年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。千葉大学名誉教授。専門はフランス文学・文学理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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