ナラティヴの被害学

個数:
電子版価格
¥2,420
  • 電子版あり

ナラティヴの被害学

  • 出版社からのお取り寄せとなります。
    入荷までにおよそ1~3週間程度かかります。
    ※商品によっては、品切れ等で入手できない場合がございます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【出荷までの期間】
    ■通常、およそ1~3週間程度

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆上記期間よりも日数がかかる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆品切れ・絶版等により入手できない場合がございます。
    ◆品切れ・絶版等の確認に2週間以上かかる場合がございます。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • 店舗受取サービスはご利用いただけません。

    ●3Dセキュア導入とクレジットカードによるお支払いについて
  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784867660713
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0098

内容説明

『ナラティヴの被害学』は暴力批判の書である。なにが暴力で、なにが暴力でないのか。誰が加害者で、誰が被害者なのか。そうした暴力にかんするわれわれの認識は、ナラティヴという知識の形式によって強力に規定されている。ある複雑な事象を、加害者たる「やつら」と被害者たる「われわれ」という二元論によって単純化するナラティヴは、暴力は「やつら」の問題なのだとわれわれに教える。だが、暴力に反対する「われわれ」自身を加害者の立場に置いてみないかぎり、暴力の問題をラディカルに考えることはできない。暴力をふるうのは一部の異常者ではなく、われわれ全員なのだから。われわれが抵抗すべきは、戦争や虐殺のような大規模で明瞭な暴力だけではない。全暴力である。いま、暴力を「やつら」の手から奪還し、加害性を社会全体に再配分せねばならない―まさしく暴力を回避するために。ヴァージニア・ウルフ、トニ・モリスンから、村上春樹、ハーマン・メルヴィルまで。精神分析、情動理論から、記憶研究、エコクリティシズムまで。奴隷制、テロリズムから、慰安婦問題、アフロ・アジアまで。人文学の広範な領域を見渡しながら、阿部幸大は本書で「被害学」victimologyというナラティヴ分析の枠組みを理論化し、被害と加害の重層的なポリティクスを解きほぐす。

目次

第1章 ナラティヴの被害学
第2章 トマス・ピンチョン『重力の虹』におけるエコロジカル・ナショナリズム
第3章 ノラ・オッジャ・ケラー『慰安婦』におけるコリアン・アメリカン二世の応答可能性
第4章 トニ・モリスン『ビラヴド』におけるメランコリックな愛と醜い感情
第5章 ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』におけるシェル・ショックとジェンダー
第6章 デブラ・グラニク『足跡はかき消して』におけるベトナム戦争と9・11以降のホームランド
第7章 ハーマン・メルヴィル「バートルビー」におけるグローバル市場と受益者
第8章 『トップガン』シリーズにおけるアメリカの軍事史と例外主義
第9章 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』におけるアジア太平洋戦争のポストメモリー
第10章 ティム・オブライエンとヴィエト・タン・ウェンにおけるベトナム帰還兵と癒しの旅

著者等紹介

阿部幸大[アベコウダイ]
1987年、北海道うまれ。筑波大学人文社会系助教。専門は日米文化史。2023年に博士号取得(PhD in Comparative Literature)。人文社会系では初となる筑波大学発ベンチャー、株式会社Ars Academica代表。論文指導をはじめとする研究コンサルティング事業を展開する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

11
『まったく新しいアカデミック・ライティング』の阿部幸大がアメリカのトップジャーナルなどに英語で書いた論文を、日本語にしてまとめたもの。それぞれに今から見た評価が書いてあって面白い。アメリカの現代文学(映画)をベトナム戦争のトラウマを乗り越えようとするナラティヴであると批判することがベース(それの応用として村上春樹と日中戦争)。その体制的語りを補強する(トップガン、オブライエン)のか、それを覆そうとするのかで作品への評価を決める。一見保守的に見える作品にもそれを覆す要素があると無理に褒めることに悩み出す。2025/05/12

烏山千鳥

2
暴力を正当化忘却化させるナラティヴがある。それを気づき批判し自らを省みる、その手掛かりになる論文集でたいへん面白かった。キーワードはアメリカ例外主義、ポストメモリー(ハーシュ(ヒルシュ?))、部外者の倫理的な応答可能性。特にトラウマ当事者の普通には語り得ないナラティヴを断片的に受け取り理解していくこと、自らの加害性を引き受けることは、色んな作品で感じてきた大きなテーマだったので、個人的な感覚にもフィットした解釈で勉強になった。2025/05/17

t-poyo

0
人文学に無縁な自分でも十分に楽しめた。前著「まったく新しい〜」で解説されていたテクニックや考え方が随所で読み取れ、各章を比較することで更に面白みが増した。当方平成生まれの日本人としては、やはり第9章の「ねじまき島」論が現実味をもって感じられ、表紙でも言及されている「加害性の再配分」という阿部さんの大目的に、読者として、当事者意識が芽生えたと思う。ほか、エコロジーなどの個人的に気になるワードを拾えたのもよかった。read moreとして、河合隼雄と村上春樹の対談本を読んでみる予定。2025/05/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22497327
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。

最近チェックした商品